192話 ページ10
皆が死ぬ気で戦っているのに、どうして私はここに居るんだろう。
毒を食らってしまった、私の体は分解してくれない。
上弦みたいに簡単には行かない
だけど…だからって、ここで皆が戦うのを見ているだけなの？
私は死なないのに？
せっかく宇随さんにも、信頼して貰えたのに…？
『…ふざけないでよ…』
視界に入る宇随さんは今も尚、兄と交戦中だ。
何度も爆発が起り刀と鎌のぶつかる音がする
「柱といっても大した事ないなああ、もうお前死にそうだよなあ」
兄の言葉通り宇随さんは確かに弱ってきていた。
血鎌の斬撃も、避けるけどギリギリ。
先程までのように余裕を持って避けれていない。
刀が兄の首をかする事も無くなってしまった。
「はっ！んなわけねぇだろーが！」
声も活気が感じられない…
どうしよう、このままじゃいつか斬撃を食らってしまう。
今の状況が続けば、彼の体があの鎌で飛ばされるのが容易に想像出来てしまいそうだ。
ヒュッと喉の奥が鳴る
また…また目の前で人が死んでしまう。
救えるかもしれない、私なんかより、もっとずっと大きな命が亡くなってしまう。
頭では今すぐ自分が動かないと駄目だって分かってる。
けど動かないんだよ、どうしても！
…気持ちだけでどうにかならない事もある。
それは知ってる、分かってるんだよ。
でも！だからって諦められるはずがない
私よりも大事な命が散っていく、そんなの見てるだけで終われる訳が無いんだ。
『宇随さん…』
あぁ動いてくれよ頼むから！！
目は彼らに向けたまま、体に命じ続ける。
動け動け動け…
……でも
「もう駄目だなあ、お前。死ぬなあ、良いのは威勢だけだったなあ」
『…ぁ』
ゴポッと嫌な音がして、宇随さんは血を吐いた。
もう毒が回ってしまったんだ…
その一瞬…もちろん兄は見逃したりしない。
宇随さんの腹を、その鎌で思い切り切り裂いた。
そして反撃しようとした彼の左腕をも飛ばしてしまった…
全て一瞬。
倒れた彼の周りに広がっていく赤、赤、赤…
傷でなくても、もう毒が回ってしまっている。
『ぁ、あ…』
痛いくらい見開いた目に写る彼は、倒れ込むとピクリとも動かない。
宇随さんが…宇随さんが……っ
兄はそんな様子の彼に近づくとニヤリと笑った。
「お前、残念だったなあ。死んだぞ、死んだぞコイツ。毒でもう心臓が動いてねえよ」
今まで見せた事ない程嬉しそうに、兄は私を振り返った。
何も考えられなくなった
頭は真っ白になった。
宇随さんが……死んでしまった
.
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癒し系猫(プロフ) - 宇髄の髄は隨じゃありませんよ〜！ (5月2日 19時) (
レス) @page20 id: 0e8640f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - 呉羽さん» 作者の妄想やら想像詰め込みまくりですよ笑 そう言って頂けて嬉しいです！ (2020年3月25日 21時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
呉羽(プロフ) - 面白い！こういう話大好き (2020年2月20日 4時) (レス) id: 14d7fd66da (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - 呉羽さん» ありがとうございます！いつも応援して下さってますよね、本当に嬉しい限りです！頑張りますううううううううう！！！ (2020年2月4日 7時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
呉羽(プロフ) - おもしろいです。完結するまで毎日見るねええええええええええええええええええええ！！！ (2020年2月2日 9時) (レス) id: 14d7fd66da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まどろみ | 作成日時：2020年1月1日 21時
