今世でも私の主食は人間らしいので絶食することにします。〜fifth〜【鬼滅の刃】

190話 ページ8

なぜだ。急に体が動かなくなった。
倒れた私の頭上で宇随さんが兄の右腕の斬撃を封じようとする……が

爆風が吹き荒れたそこに兄の姿は無い
「雛…っ」
兄は一瞬にして宇随さんの奥さんの所へと飛んでいた。
「よくもやってくれたなああ、俺はお前に構うからなああ」
兄は奥さんの口を掴むと目を見開いて声を上げる。
「雛鶴ーーっ！」
宇随さんが悲痛に叫ぶ。
すぐに向かおうとする宇随さんだが、帯と血鎌の攻撃が降り注ぐ。

『(動け動け動け動け…！！)』
唯一眼球は動くから視界の端で奥さんが拘束されているのが見える。
それなのに体が動かない、なぜだ？
今までこんな事無かったのに…どうして！？

『…あ！』
視線を下に移動させた時、私はその理由が分かった。
あの藤の毒のクナイが……なんと私の右足に突き刺さっていた。
『くそっ』
回し蹴りで斬撃を消滅させた直後。
回復した右足にクナイを刺されたんだ。
恐らく…兄が自分の首に刺さったものを、私の動きを封じるために突き刺した…！

ここに来てまたしても上弦との格の違いを見せつけられた。
頭で動けと命じているのに、私の体は簡単に毒を分解してくれない。
上弦のようにはいかない
体中力を入れても、もう本当にピクリとも動かないのだ

「やめろーっ！」
攻撃を捌きながら宇随さんが叫ぶ。
私が動けていたら！！
今すぐにでも奥さんを助けに行けるのに！
何をやってるんだ！
急げ急げ！
また目の前で人が殺される、しかも宇随さんの大事な人だ、ああ頼むから動いてくれ！！
動け動けと体に命じ続けていた、その時…



((ドッ
「！」
炭治郎くんが、一瞬で兄の目の前に飛んだ。
そして流れる動作で兄の腕を切断すると奥さんを救い出す
『っ』

良かった…本当に良かった……！
思わず安堵する。
炭治郎くんが動いてくれた。
満身創痍なのに何であんなに速く動けるんだ？
今はもちろん感謝しかないが、凄く心配。
彼が先程覚醒していた時の、あの技にも少し似ている気がしたし…
だけど、ホントありがとう…

荒い呼吸を繰り返す彼に兄が飛びかかる
今度は炭治郎くんが！
…そう思った時
宇随さんが目の前でドンと踏み込む。
炭治郎くんの攻撃で兄の視界から一瞬宇随さんが外れた。
血鎌の攻撃が薄くなったその瞬間を見逃さず彼は攻撃に出た。
そして一気に屋根の上に飛び……
兄の後ろを取った！

「竃門炭治郎お前に感謝する！！」



炭治郎くんも刀を兄の首へ振るう。
二人の刀が首を挟んだ
行ける！今度こそ斬れる…！

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