120話 ページ29
あの時、太陽の昇りかけてきていたあの時。
猗窩座の前に立ち塞がった私は自分諸共、灰になってもいいと思っていた。
だけど、私はそれ以前の問題。
戦いにならなかった。
為す術なく手足をもがれただけで、伊之助くんが運んでくれなかったら自滅していた。
『…私一人では、まるで戦いになりませんでした。私が戦えたのは、煉獄さんの力があったからでした。』
私は何もやっていない。
彼が居たから共闘できた。
「…炭治郎からの報告では、Aは杏寿郎の体力も考慮しながら戦っていたと聞いたよ」
『はい。私が煉獄さんに対して…そんな心配は無礼だったと思います。でも、でも…凄く怖かったんです。上弦を目の前にして明らかに格の違う相手を前にして……何かあったらどうしよう、と』
鬼殺隊トップの柱に対し、そんな心配は恐らく凄く失礼だ。
普通なら信じて背中を預けるべきだから。
『考えていたのに…私の目の前で、一撃を食らわされてしまった。止められなかった……あの時私が庇えていたら、煉獄さんは生きていた。上弦も倒せたかもしれないんです。』
だから私は何の役にも立てていない。
御館様は私と何を話したかったのかな、
申し訳無い、失望されただろうか。
昨日までは私が指示に従わなかったから処分されるかも、と考えていたけれど…それ以前に私は鬼にもかかわらず何も出来なかった無能なのだ。
つまり使えない、つまり要らない。
「…A、私はきみを責めているわけではないんだよ。ただ君が鬼殺隊として、杏寿郎と共に戦っていたとに感謝したいんだ。だから私は今日、君をここへ呼んだ」
感謝?私にそんな事する必要はない。
私は…私は
「…納得の行かなさそうな顔だね。」
「では一つ聞こう、A。杏寿郎は君に守られなければいけないような男だったかい?」
『…!』
…煉獄さんはとても強かった。
心も体も、ずっとずっと強かった。
「君が責任を感じる必要などない。それに杏寿郎も言っただろう、気にするな…と」
…柱ならば当然だと言っていた。
後輩の盾となるのは当たり前だと。
私は猗窩座の言葉に怒りを覚えていた。
人間では成しえない、それは見下しているのではと思ったから。
…でも私も変わらないじゃないか
人間は脆いから、私が庇わないといけないと勝手に考えていた。
しかしそれらは全て私の独断の考え。
「杏寿郎が、炎柱が欠けてしまった事は鬼殺隊にとっても大きな痛手だ。…しかし彼の死は決して無駄ではない。無駄にはしない」
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サワーポメロ(プロフ) - モブサイコ100知ってます!面白いですよね! (2020年4月23日 12時) (レス) id: 2fd1d8b796 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - ふうさん» アオイちゃんが自分を腰抜けだと言っていたのは、過去に嫌なモブ隊士に言われちゃったりしたのかなぁと思って書きました。でもたぶん実際居ますよね、嫌な奴のは。作中で炭治郎くんが関わらなかっただけで、、、。もう私も本来なら目ん玉抉りたいレベルですよ!! (2019年11月9日 10時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - ケチャップさん» けっこうな歳なのにヤンチャで凶器振り回す所、それが鋼塚さんの好きなポイントです笑 (2019年11月9日 10時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
ふう(プロフ) - モブ隊士のくせにっアオイちゃん達いなかったら体力落ちてるくせにっどうせ今頃お陀仏のくせにっアオイちゃんを悪くいうなぁ!!目ん玉抉るぞぉ!!すいません冗談です許してください (2019年11月8日 18時) (レス) id: 0f2e7dcacf (このIDを非表示/違反報告)
ケチャップ - 鋼塚さん怖い…w (2019年11月2日 15時) (レス) id: 7bf493a5f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まどろみ | 作成日時:2019年10月14日 14時