107話 ページ15
「A!!」
伊之助くんが急いで私に駆け寄ると、列車の陰へと走る。
「お前鬼だろうが!!太陽に当たって…何考えてんだよ!!」
『ぁ、あ…』
日陰に入ったことにより、燃えていた体が止まる。
徐々に回復していくがこの時既に私の体はほとんど燃えていた。
顔は鼻から下しか残っておらず目は燃え尽きていた
「いつだって鬼殺隊はお前らに有利な夜の闇の中で戦ってるんだ!!生身の人間がだ!傷だって簡単には塞がらない!失った手足が戻ることもない!」
炭治郎くんが猗窩座に叫ぶのが聞こえる。
体が回復し、視界に伊之助くんと叫ぶ炭治郎くんが移る。
…あぁ、逃がしてしまった。
目の前に居たのに。
自分も一緒に消滅してでも、絶対に倒したかったのに。
「逃げるな馬鹿野郎!馬鹿野郎!卑怯者!!」
炭治郎くんの声は半分枯れていた。
辛い、悔しい、情けない………っ!!!
たくさんの物が込み上げてきて、それらを歯を食いしばって耐える。
「お前なんかより煉獄さんの方がずっと凄いんだ!強いんだ!煉獄さんは負けてない!誰も死なせなかった!」
伊之助くんが拳を握りしめて震える。
同じなんだ。みんな同じ気持ちなんだ。
そうだよ、煉獄さんは凄い強いんだよ。
猗窩座、お前なんかよりも…何百倍も……!!
「戦い抜いた!守り抜いた!お前の負けだ!煉獄さんの勝ちだ!!」
「うああああああ!!ああああっっ!!」
声の限りに叫んで、ボロボロと涙を零す炭治郎くん。
「ああああ…」
悲痛な叫び声に私の横に居た伊之助くんも震えた声を出す。
彼らの声を聞いて私の中の感情が爆発した。
もう抑えきれない。
あっという間に視界がボヤけて、ボタボタと大粒の雫が地面にシミを作っていく。
止まらない。止められない。
『ぁあ、ああああっ、ああああっっ』
悔しい悔しい悔しい…!
私はなんて無力なんだ
「もうそんなに叫ぶんじゃない」
ペタンと座り込んだ炭治郎くんの背中に、煉獄さんは優しく言った。
「腹の傷が開く。君も軽傷じゃないんだ。竈門少年が死んでしまったら、俺の負けになってしまうぞ」
炭治郎くんは涙でいっぱいの顔で振り返る。
正座姿の煉獄さんは炭治郎くんを手招きした。
「最後に少し話をしよう。猪頭少年、小鳥遊少女はそこで聞いておくれ」
煉獄さんは炭治郎くんの言っていた"ヒノカミ神楽"について煉獄家を訪ねれば何かわかるかもしれないと言う。
「煉、煉獄さんもういいですから。呼吸で止血してください…」
炭治郎くんが焦って話すのを中断させる
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サワーポメロ(プロフ) - モブサイコ100知ってます!面白いですよね! (2020年4月23日 12時) (レス) id: 2fd1d8b796 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - ふうさん» アオイちゃんが自分を腰抜けだと言っていたのは、過去に嫌なモブ隊士に言われちゃったりしたのかなぁと思って書きました。でもたぶん実際居ますよね、嫌な奴のは。作中で炭治郎くんが関わらなかっただけで、、、。もう私も本来なら目ん玉抉りたいレベルですよ!! (2019年11月9日 10時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - ケチャップさん» けっこうな歳なのにヤンチャで凶器振り回す所、それが鋼塚さんの好きなポイントです笑 (2019年11月9日 10時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
ふう(プロフ) - モブ隊士のくせにっアオイちゃん達いなかったら体力落ちてるくせにっどうせ今頃お陀仏のくせにっアオイちゃんを悪くいうなぁ!!目ん玉抉るぞぉ!!すいません冗談です許してください (2019年11月8日 18時) (レス) id: 0f2e7dcacf (このIDを非表示/違反報告)
ケチャップ - 鋼塚さん怖い…w (2019年11月2日 15時) (レス) id: 7bf493a5f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まどろみ | 作成日時:2019年10月14日 14時