105話 ページ13
時間が物凄く長く感じられた。
地面に落ちた私は、煉獄さんの方をただただ見るだけ。
まずい、と頭では分かっている。
それなのにこの一瞬で私の体が彼の所へ届くはずもなかった。
上体を半分起こして踏み込んだ足は行き場がない。
土煙で視界が塞がった瞬間、二人の動きは止まった。
それは戦いが終結した事を意味する。
つまりもう、行く場所も何も、全て終わってしまったんだ
…あぁ、煉獄さん
煙が晴れてきて視界に入れるまでもなく、もう一秒も前に私は悟っていた。
でも何かの間違いであってくれ、と。
嘘だと頭が拒絶する。
視界に入れるまで頭が事実と認めなかったから、私は目を逸らせなかった。
『ぁ、っっ…』
猗窩座の腕は煉獄さんの腹を貫通していた。
彼の刀は頭上に振り上げられたまま。
猗窩座は技を発動するのが遅かったためか、耳と手首が斬られたまま。
でもそのハンデを持ってしても、上弦の力というのは凄まじくて…柱の煉獄さんも首を取れない。
動き回って熱くなった体が冷えていく。
体に力が入らなくなった。
手足が冷たい。
……煉獄さんが…死んでしまう
もともと出血の量も問題だったが、腕が貫通なんて。
内臓全てと体を支える骨もやられてしまっているということ。
人間ではその体でもう生きていられない。
死んでしまう、目の前で人が。
さっきまで生きていた人が。
目と鼻の先で心も体もとても強かった人が。
「死んでしまうぞ杏寿郎!鬼になれ、鬼になると言え!!お前は選ばれし強き者なのだ!!」
強き者…そうだよ煉獄さんは強い人だよ。
出会って数日、たったそれだけの時間だけど私は彼から学んだ事が多かったんだ。
だから、どうか……
信じられない。信じたくない。
死なない私がここにいて、彼はどうしてあそこに居るんだ。
何をしているんだ私は。
何のために加勢したんだ、死なせないためだろう。
もう目の前で誰かが死ぬなんて見たくなかったからだろう。
『…っ』
無力。
どうせ鬼となったんだから人のために力を使う?
使えてないじゃないか。口先だけじゃないか。
もっと体の使い方が上手ければ。
もっと速く動ければ。パワーがあれば。
……私にも鬼を倒す力があれば
…その時。
煉獄さんは刀を振り下ろし猗窩座の首に叩きつけた。
…煉獄さん!あの傷でまだ動けるなんて……!
目を見開いた猗窩座は反対の手を煉獄さんに向ける。
しかしその手も掴まれた。
猗窩座が引こうとするが煉獄さんは離さない
煉獄さんはまだ諦めてない……!!
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サワーポメロ(プロフ) - モブサイコ100知ってます!面白いですよね! (2020年4月23日 12時) (レス) id: 2fd1d8b796 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - ふうさん» アオイちゃんが自分を腰抜けだと言っていたのは、過去に嫌なモブ隊士に言われちゃったりしたのかなぁと思って書きました。でもたぶん実際居ますよね、嫌な奴のは。作中で炭治郎くんが関わらなかっただけで、、、。もう私も本来なら目ん玉抉りたいレベルですよ!! (2019年11月9日 10時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - ケチャップさん» けっこうな歳なのにヤンチャで凶器振り回す所、それが鋼塚さんの好きなポイントです笑 (2019年11月9日 10時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
ふう(プロフ) - モブ隊士のくせにっアオイちゃん達いなかったら体力落ちてるくせにっどうせ今頃お陀仏のくせにっアオイちゃんを悪くいうなぁ!!目ん玉抉るぞぉ!!すいません冗談です許してください (2019年11月8日 18時) (レス) id: 0f2e7dcacf (このIDを非表示/違反報告)
ケチャップ - 鋼塚さん怖い…w (2019年11月2日 15時) (レス) id: 7bf493a5f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まどろみ | 作成日時:2019年10月14日 14時