その心は ページ25
「・・・帰ろう。で、病院に行こう」
「・・・」
黙ったままのAさん
Aさんが重そうに持ってる資料が入った紙袋を俺が持っても
次々と零れ落ちる涙を拭ってあげても
熱のせいで火照った手をひいて歩き始めても
マンションに戻って車に乗り換え病院に向かっても
Aさんは黙ったまま
「点滴打っとこうか…終わったら薬もらって帰って良いよ。後は家でゆっくり休んで」
「ありがとうございます」
病院に着いて熱を計ったらやっぱり今朝よりグンと上がっていた
「点滴したら熱下がるよ。俺も熱が出たときここで点滴してもらうけどいつも一発で下がる(^^)」
「…ごめんね」
やっと声が聞けたと思えば謝罪の言葉
「点滴終わるまで寝てて…いや、終わっても寝てて良いよ…俺が連れて帰るから」
「私ね…今の仕事が成功したら部長になるの」
「部長？今より偉くなる？」
「そう…今の部所のトップよ」
天井を見つめながら話し始めたAさん
俺はその辺にあったパイプ椅子を引き寄せ座りAさんの手をそっと握った
「スゴイ！さっき聞こえた‘ショーシン’って偉くなるって意味だったんだ？」
「だけどね…頑張り方を間違えてた…私の仕事は田中くんと金子くんを育てる事だった…
何でもかんでも私が頑張っちゃいけなかった…
私主導で進めちゃいけない仕事だった…」
緩く握ったAさんの手にグッと力がこもる
一旦はひいた涙がまた零れる
その涙を拭いてあげながら話を聞く
「さっきのカレ…同期入社なの…凄く優秀であっという間に部長になった…
私ね…課長と部長の差ってあまり無いと思ってたのよ…
だけど私が気付けなかった事を杉野のは気付いてた…
こんなに悔しいのは大して差がないと思ってた杉野に指摘されたから…
やっぱり部長と課長の差は大きいわ…」
ナルホド
それであの人の背中をずっと見つめてたのか
「意外だな」
「何が？」
「Aさんって面倒くさがりだから、そういう負けず嫌いなところがあるなんて知らなかった」
「私だってこんなに悔しいって感情が沸くなんて思ってもみなかったわ…
こんな感情、初めてよ」
あぁ…また…
また他人にAさんの初めてを取られた
「…俺も悔しい」
「え？」
「ううん…独り言(^^)」
どうしたらAさんの初めてを全部俺のものにする事が出来るんだろうな…
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とんこ - え〜完結ってなってたからシリーズ最初から読んじゃったけどこれひょっとして区切りも着いてないですよね。折角面白かったのに残念。こんな気持ちになりたくなくて完結作品捜して読んだのに (2019年1月4日 8時) (
レス) id: ea70574319 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - ベルギーを称賛ってさすがだね (2018年7月3日 18時) (レス) id: b2dbe2074b (このIDを非表示/違反報告)
純蓮(プロフ) - 千衣さん» ちょっとアホっぽいチャンミンにどんどんにやけちゃってください(笑) (2018年6月30日 9時) (レス) id: a8649ab444 (このIDを非表示/違反報告)
千衣(プロフ) - 純蓮さんの言葉のチョイスが４０代の私にはツボです。『浮かれポンチ』＝この作品のチャミ、当分ツボってにやけるヤバイ人になるな〜 (2018年6月30日 7時) (携帯から) (レス) id: 4037bbf8fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：純蓮
| 作成日時：2018年6月16日 22時
