2story ページ4
「あの子達3人を幸せに包まれたまま出荷したいのよ」
『…うん、分かった、ママ。』
*
「レイ、これからママがすること…許してね」
昔の優しいママはもうどこにもいない。
「はあっ!?どういう事だよ!!」
「いらっしゃい、ノア」
『うん…』
私は俯いたまま、ドアの前に立ちはだかった。
「頼んだわよ」
『はい、ママ』
扉を閉められ、カチャリと外から鍵をかけられる音が聞こえた。
『ごめんね、レイ…ここで、幸せに死のうよ』
「ノア…!?なんで…ここにいるんだよ!!」
*
『ごめんママ…約束、守れなかった』
拘束をするつもりが、思った以上に力が強く、私は殴られた箇所が悪かったのか力が出ない。
「なんで…こんなこと…!!」
倒れた私の上半身をレイは抱き上げると悔しそうにか細く声を出した。
『私ね…』
話そうとした時、ドンが扉を開けた。
「ママを止めるぞ!!!」
*
『ママ、ごめんなさい、拘束出来なかった』
殴られた箇所がズキズキと痛む。
約束を果たせなかったことが尚苦しい。
「いえ、いいのよ。時間稼ぎが出来ただけ良いわ」
ママは私をやさしく抱き締める。
「良くやったわね。私の愛しい最愛の子…」
この愛は【本物】?それとも【偽物】?そんなことはどうでもいい。私はただママの愛が欲しいのだから。
*
「皆聞いて!いいお知らせよ!」
「ノーマンの里親が決まったの。急だけど明日夜の出立よ」
夕食の直前、満面の笑みを浮かべるママに手を添えられたノーマンがドアから現れた。祝福する皆に混じって、私も作り笑いを浮かべた。
辛い、苦しい、悲しい…今まで裏切ってごめんなさい…
だから最期に。
*
「ノア、呼び出しなんて珍しいね。どうしたの?」
『あのね、ノーマン…』
秘密を打ち明けることにした。
『私…』
*
「ノア、」
『ごめん、ね…』
申し訳なくて、ノーマンから向けられる視線が怖くて…私はノーマンの言葉を遮った。
「違う。違うよ、ノア。僕は…」
「分かってたんだよ」
優しい声色。恐る恐る顔を上げる。
『…え?』
「《これ》はこの農園を脱出した後の大きな鍵だ。ノアが見つけてくれた事でエマ達の今後の方針が決まった。」
「…それとね、僕がノアが内通者だって気付いてないと思った?」
『…うん』
「まあ確かに、ほぼ完璧で隙が殆どなかったからボロを出すまで待ってたって事もあるけど」
「僕はノアもここから脱出して欲しい。」
「ママから逃げて欲しいんだよ」
いつの間にか目には涙が溜まり、頬を伝って流れていた。
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ジュリー(プロフ) - みかん星人さん» 了解しました!どんどんコメ来ると嬉しいです!END分岐が多いようなので、別でEND集を作ろうと思いまーす! (2019年3月2日 13時) (レス) id: 3e129eef4c (このIDを非表示/違反報告)
みかん星人(プロフ) - コメント失礼します!個人的には2番寄りの6番が見てみたいです...wwもちろん何番でも楽しみですけど!更新楽しみにしてます! (2019年3月2日 12時) (レス) id: 8089ca85b5 (このIDを非表示/違反報告)
ジュリー(プロフ) - 杏里さん» コメありがとうございます!(泣)了解しました!欲張りさんでもウェルカムなので他の方もコメお願いしますー! (2019年3月2日 12時) (レス) id: 3e129eef4c (このIDを非表示/違反報告)
杏里 - 初コメ失礼します。アンケート12がいいです!(欲張り) (2019年3月1日 23時) (レス) id: 4f6b7da3ac (このIDを非表示/違反報告)
ジュリー(プロフ) - コメントお願いします!来たら嬉しすぎて泣きます。来なくても泣きます。(好きなやつだけ書くかもです) (2019年2月24日 15時) (レス) id: 3e129eef4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ジュリー | 作成日時:2019年1月13日 12時