＊※ ページ8
「……今までよぉ頑張ったな、A。いじめにも虐待にも 大切な奴が死んじゃったのにも耐えて、死にたいの堪えて リスカだけで我慢して、ほんまに強い奴や、Aは。
今日くらい、泣いてもええんやで。今まで頑張ってきたから、いくら泣いても許されるわ。」
優しい声で、Aの心に語りかけるように 一言一言を囁く。苦しいのを解くように、つらいのが無くなるように。
『う、ぁ…、あぁ、あ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"……！！！！た"い"せ"ん"せ"ぇ"え"ぇ"……！！！！！！！』
「よしよし、つらかったんよな。苦しかったんよな。痛かったよな……… 今まで泣く暇も無かったんよな。どうしようもなく胸が苦しくて、でも泣いちゃいけなくて、自分を責めたんよな……」
泣いたら殴られる。蹴られる。罵られる。やから泣けなかった。ずっと、ずーっと今まで泣かないまま過ごしてきた。
「リスカは悪いことやないんやで。するくらい死にたかったけど、同じくらい生きたいって思っとることなんやから。自分を責めちゃあかんよ」
肩がびしゃびしゃになったけど、別に悪い気はしない。肩の上でAに泣かれるのも、こうして囁けるのも、幼馴染みの特権やから。
Aは泣き疲れて寝てしまった。ベッドにAを寝かせて、俺も隣で寝た。それで 次の日に笑えなくても、昨日よりはいい顔になってればええなって思っとったのに。
「……ん、……A、…A？」
朝起きた時、手で隣を探っても、Aはいなかった。温もりは疾うに消えていて、どこからも音はしなかった。
キッチンにも、リビングにも、トイレにも、ベランダにもいない。靴はあるから、家にはいると思うんに。
よく見れば、昨日棚の上に置きっぱなしにしていた包丁が無いことに気づく。
「……ハ、…まさか、？」
扉越しに影が見える 風呂場の扉を開けた。
既に息絶えているであろう、腕を真っ赤な冷水につけてぐったりとしているAと、刃にほんの少し血の付いた包丁が転がっていた。
【リスとカっと】
・カッターナイフなどの刃物を用いて主に手首を傷つける自傷行為。
【
・多量の出血により、生命の維持に必要とされる血液の量を失ったために死ぬこと。
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まる麺 - タイトル回収が天才すぎです、！面白かったです！ (7月19日 14時) (
レス) @page49 id: 81fa0833c9 (このIDを非表示/違反報告)
戦慄(プロフ) - わあああ…すっごいすきです…どのお話もとっても素敵です…！ (2023年1月3日 12時) (レス) id: e831999098 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さき。 | 作成日時：2022年8月23日 9時
