釣れた!吊れた! _ci ページ4
※軍パロ
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「何回やれば分かるんだお前は!!その頭蓋骨に脳味噌詰まってんのかぁ!?」
『すみません、すみませんッ』
目の前で繰り広げられる説教に似た叱責。この国に潜入し、適当に後輩として下に就いた。俺の先輩に値するAさんはかなりミスをする。
潜入して1ヶ月になるが、先輩はほぼ毎日叱られていた。ここまで来ると不憫に感じて、何かしらの嫌がらせや障害があるんじゃないかとも思う。
「……」
『ごめんなぁ、チノ。毎日こんなん見せて。嫌やったら別の人んとこ行ってもええんやで?』
説教が終わったあと、先輩は必ず俺にこう言う。そして俺も 決まった台詞を言う。
「いいえ、行きませんよ。先輩のサポート、したいんです。先輩がこんなミスするなんてあり得ませんから。」
『……、いつもありがとう、チノ。助かってるわ。でも、これは本当に 私がバカやからミスするだけやで?』
自虐するような笑み。目元に影が差す。
「先輩はバカなんかでは無いですよ!本気を出せば あいつらより強くて書類だってミス無しなの、僕は知ってますから!」
そう。このドジドジなA先輩は 本気を出せばゾムさんに勝てるくらい強いし、トントンさんと同じくらい綺麗に、速く書類を片付けることが出来るハイスペックな力を持っている。
何故こんなにもミスをしてるのかは置いといて。
元々この国に俺が派遣された理由は、この国の情報を持ってくることと、Aという隠れた原石がいるから抜き取ってきてほしい という理由で来たのだ。
接触しないわけにはいかない。
『…チノはいい後輩やなぁ。チノが私の立場に来てくれや。私、もう嫌やで』
遠くを見つめるその目の暗さに 光も底も無い。密かな力は勿論のこと 明らかに闇も隠れている。その目を見つめていると ついひどく惹かれてしまう。
ああ、この人は本当に…
自分の口角がひくついたのが分かった。バレてないとええねんけど
『………。よし。書き直しも終わったし、私は一旦寝るわ。本当、いつもありがとな。おやすみチノ。』
「はい!おやすみなさい!」
部屋を出て、ドアが閉まる。
脆い月明かりの下、いつもより数倍小さな声で インカムを繋いだ。
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まる麺 - タイトル回収が天才すぎです、!面白かったです! (7月19日 14時) (レス) @page49 id: 81fa0833c9 (このIDを非表示/違反報告)
戦慄(プロフ) - わあああ…すっごいすきです…どのお話もとっても素敵です…! (2023年1月3日 12時) (レス) id: e831999098 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さき。 | 作成日時:2022年8月23日 9時