愛しい人よ ＿gr ページ13
※軍パロ
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鼻につく煙の濃い匂い。窓から入る光は赤黒く、遠くに見えるはボウボウと燃え盛る巨大な炎。インカムから流れる音は砂嵐のみ。誰の声も聞こえず、爆発音と悲鳴 敵軍の廊下を走る音だけが空の城にこだまする。
おそらく今もなお 自軍の兵達が命をかけて戦っているだろう。怪我をし、動けなくなっても 俺のため 国のために最後まで剣を 銃を振るっていることだろう。
しかし、その忠誠心も もうすぐ無駄になる。
我々は失敗した。調子に乗りすぎたのだ。負けを知らない国だのなんだのと囃し立てられ、それに乗っかったのがよくなかった。
きっと10分も立たぬ内に 俺の首を取ろうとこの部屋に敵兵達が攻め込んでくる。この国にミサイルが落とされる。
首と体が仲良くしている間にやらねばならないことが一つ残っている。
砂嵐しか聞こえなくなったインカムを繋ぎ直し、マイクに向かってソイツの名前を呼ぶ。
「A。総統室に入れ」
直後。扉の開く音。
『……お呼びでしょうか、総統様。』
暗い、暗い顔をして後ろに手を組み、ソウトウサマだなんてクソかったい名前で呼ぶA。
「今更そんなかしこまらなくていいんだゾ。………最後なんやし、立場とか敬語とか気にせんでええやん」
いつもの喋り方をすこしほどき、素の口調で喋れば 目の前のソイツは少し目を開いてカラカラと笑った。
『っクふふ、アはは！そうかィ、最後ねェ！フフフ！…そうだなァ、最後か。…ウン、最後だな。ナァ グルッペン、私達が出会った頃のこと、覚えてるかい？』
「ああもちろん。覚えてるで。あの頃は必死やったな。元総統の政治がゴミすぎて このまま一生貧乏のままじゃあないか って思っとったよな」
『そうそう！それでな、その後にグルッペンが突然 俺がこの国を変えてやる！ なんて言い出したんよなァ！あん時は本当に コイツ何言ってんだ って思ったけど、ついてってホンマ良かったわ』
最後の雑談に 花が咲き乱れる。あんなことも こんなこともあったよな と駄弁るAの表情は、今までで一番楽しそうやった。
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まる麺 - タイトル回収が天才すぎです、！面白かったです！ (7月19日 14時) (
レス) @page49 id: 81fa0833c9 (このIDを非表示/違反報告)
戦慄(プロフ) - わあああ…すっごいすきです…どのお話もとっても素敵です…！ (2023年1月3日 12時) (レス) id: e831999098 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さき。 | 作成日時：2022年8月23日 9時
