【d!】降参 降参するよ【短編集】

敗者 ＿sha ページ11

『あ"あ"イライラする…！！！何なんこいつ！！ストーカーかよ！！どこまで追いかけてくんねん！！！っあ"ぁ"〜！！！！！！くっそ！！！！』


手の中にあるコントローラーを ぶっ潰しそうな勢いでぎゅうぎゅうに握りしめている彼女。ギリギリと歯を噛みしめ、目をひんむきながら画面を見る。



『…………。ハァ、よりによって負けかよ。何やねん。ほんま味方クソやな。もーちょい働けや。』


大きな舌打ち一つ。日常茶飯事すぎて呆れすら出てこない。多分俺より口悪い。



「…なぁA。今度ゲーセン行こうや。そんで戦闘ゲーで勝負せん？負けたらアイス奢り」


『おっマジ？行く行く！今回こそ勝ってやるかんな！！待ってろよ！！』

「上等だよオラ。かかってこいや」


食べ物か勝負で釣れば機嫌が治ることも知ってる。長年Aと一緒にいた結果、これが一番効果的やと分かった。


………まぁ、長年いなくても こいつがチョロいことなんて一緒におったらすぐ分かるやろうけどな。









『ッカ〜〜！！！！！！！！なん……クソ！！！！待てゴラ！！！！おい！！！』

「ハハハハ！！！オラオラかかってこいよ！！はい雑魚乙〜！！」

『クッソ……また負けた………何故…何故なんや…』


You Win！の文字が大きく示される。400円注ぎ込んで、4回とも俺の大勝利。項垂れるA。拳を突き上げる俺。


『………ああもう！！！ヤケや！！！クソたっかいアイス買ってやるよ！！！！ヤケ食いやヤケ食い！！』

「アヒャヒャヒャ！！！ごちでーす！！！！」



バッグを乱暴に手に取り、ズカズカとゲーセンを出ていく。後ろ姿が何故か哀愁漂ってんのが面白すぎて笑いが止まらん。おもろ。





『おいシャオロン。どこのアイスが食いたいか3秒以内に答えろ。出なければ私の得意なゲームで貴様をフルボッコにする』


「ウワ、負け犬の遠吠えってやつ〜〜？？？無様やな〜〜！！！…そうやねー……んー、どうしよかなー」

夕焼けに照らされて真っ赤になった道を2人で歩く。靴の底がコンクリートに当たって音を鳴らす。


「GODIVAのチョコアイスもいいよな…せっかくの機会やしクソ高いのがいいよな………」


コツン。


「ハーゲンダッツ……いや、外国のアイス……」


コツン。


「……ん〜〜、よし、じゃあ奢りのアイス言うで？」


コツン。





「普通の味のパピ＿＿＿＿＿＿＿＿」







キキキーッ！！

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