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頭は間違うことはあっても 6 ページ39

「無様ね」

彼女―――モンゴメリちゃんは部屋に入るなり、私を鼻で嗤う。そんなモンゴメリちゃんをじっと見つめると、「な、なによ」と睨み返された。

「貴方にお願いがあるの。私を此処からだして」

「無理よ。此処はアンの部屋だもの」

モンゴメリちゃんにそういわれ、はっと気がつくといつの間にか部屋の景色が変わっていた。どうやら彼女の異能の様だ。カラフルなおもちゃ箱をひっくり返したような部屋の中で、巨大な人形が私を見下ろしていた。

「そんな…!このままじゃ横浜が……!!」

「……と、言いたいところだけど。いいわ、此処から出してあげる」

「……へ?」

先程とは違う態度に間抜けな声が出た。どうして、と彼女を見つめると、私の言いたいことが分かったのか、答えてくれた。

「虎猫ちゃんに頼まれたのよ。貴方を出してほしいって」

「敦くんが……?その敦くんは今どうしてるの……?」

「今頃白鯨から脱出して、落下してるわ。あの気持ち悪い人形と落下傘をもってね。貴方のことは気に入らないけれど、あの子と約束しちゃった以上、ここから出る手助けをしてあげる」

この船から脱出。もしかして、彼女が助けてくれたのだろうか。私のいないところで状況が進んでいることに追い付いていないでいると、「ほら疾くして!」と急かされ、私の背中側にある扉を指した。

「その扉を白鯨の外に繋げたわ。貴方の異能力があればここから飛び降りるくらいどうってことないはずよ」

「でも、それじゃあ貴方が……!!…そうだ…貴方も逃げよう!私たちのことを逃がしたことをバレたら、貴方だって……!!」

「……それ、虎猫ちゃんにも云われたわ。アンに勝てる人なんて居ないわ。この部屋に居る限り安全よ。貴方たち、莫迦みたいにそっくりなのね。とんだお人好しだわ」

「な……ばっ……!?」

「貴方みたいな人、本当に気に入らないわ。でも、どうしてかしらね。なんだか……」

だんだん声が小さくなっていき、最後のほうの言葉が聞こえなかったので、「え?」と聞き返すと、「なんでもないわよ!」と怒られた。そのままぐいぐいと扉の前へ押される。

「ちょ、ちょっと待って!最後に貴方の名前、聞いてもいいかな?」

「……ルーシー。ルーシー・モード・モンゴメリよ」

扉を開ける。下を見たが、敦くんはさすがにいなかった。モンゴメリ……ルーシーちゃんにお礼をいうため、後ろを振り返る。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 中島敦   
作品ジャンル:恋愛
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時

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