うつくしき人は寂として石像の如く 11 ページ4
「Aちゃん!!」
黒獸が爆風を切り裂いて視界がクリアになったとき、敦くんが私の名前を呼ぶのが聞こえた。それと同時に、浮遊感。一瞬に起きたその出来事についていけず、気がつくと私は敦くんに横抱きにされていた。
「敦くん…なんで…」
「先に帰れっていう言い付け守れなくてごめん」
「なんで戻ってきたの……?」
「僕は鏡花ちゃんを、助けたい。それに、君とまた一緒に帰りたい。だから戻ってきたんだ」
敦くんはそのまま私のことを気絶している鏡花ちゃんの横へおろす。真逆、このまま見ていろということだろうか。私はまだ動けると反論すると、敦くんに休んでて、と少し怒ったように言われた。
こんな敦くんは見たことない。少なくとも彼は、入社後に怒った姿を見せたことなどなかった。頼りなかったはずの彼が、確実に成長している。
そんな彼に困惑していると、真っ直ぐとした目と視線が交わった。思わず綺麗な淡い黄色の瞳に見とれてしまう。
「一緒に帰ろう、Aちゃん」
頼りなかったなんかじゃない。それはただの私の勝手な先入観だ。
彼も立派な探偵社員だったのだ。
「……うん」
いつの間にか成長していた彼に少しだけ寂しさを覚えつつも、私は短く返事をした。
おやすみ、という敦くんの優しい声を最後に、緊張と疲れた身体が限界を迎え、私は意識を手放した。
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時