三社鼎立 9 ページ30
「Aちゃん!」
いつのまにか指定された場所である駅へついた。改札を抜けると、敦くんに呼ばれる。本来太宰さんと敦くんがいる筈だが、何故か敦くんしかいなかった。
「敦くん!ナオミちゃんたちは!?」
「大丈夫、谷崎さんたちが間に合ったみたいだ!もうすぐくると思うんだけど……」
敦くんの言葉にほっとしていると、駅に列車がくるアナウンスがなる。列車がホームに入ってきて、扉があくとナオミちゃんと春野さんの姿が見えたので私たちは二人に駆け寄った。
「春野さん、ナオミちゃん!大丈夫だった!?」
「ええ…でも真逆、事務員が狙われるなんて」
「安心してください!僕達が避難地点まで護衛しますから」
自分の拳を胸にあて、安心させるように敦くんは笑う。探偵社にいる戦闘系の異能をもつのは、敦くんと賢治くんのみ。私は何系と言われたら防御系なのだから、護衛には特化している。と、頭の片隅で考えつつ、太宰さんのことを思い浮かべた。
こんな時に太宰さんは何処にいったのだろう。
「紹介しますわ。列車の中で知り合ったのですけど……」
そういうナオミちゃんの後ろから、小さな男の子が出てきた。白と黒の髪が混ざり、どことなく不思議な雰囲気がある。
「おっと」
「大丈夫?」
男の子は敦くんに軽くぶつかった。男の子に大丈夫か、と尋ねるが、私の言葉が聞こえてないのか敦くんに目を細めて笑いかけた。ぞくり、と冷たい何かが背中に巡る。
「籠のなぁかのとぉりぃは、いついつ、出遣ぁる」
男の子は楽しそうに笑うと、自らの袖口を捲った。袖口を捲ると包帯が見えたが、血で滲んでいた。剃刀で腕を切ったのだ。真逆、先刻の時の衝撃で―――?
「後ろの正面、だぁれ?」
すると男の子がもっていた人形がケタケタと笑いだし、自らの頭を裂いた。
「この子、異能力者……!?敦くん、気をつけて…!」
「……」
「敦くん……?」
横にいた敦くんに呼び掛けるも、何も反応しない。それどころか、目を見開き、目から血を流していた。いつもとは明らかに違う敦くんの様子に、ナオミちゃんと春野さんに避難するように指示を出す。その隙に敦くんは半虎化のまま私の目の前に来ていた。
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時