たえまなく過去へ押し戻されながら ページ15
朝、太宰さんを叩き起こして共に探偵社へ行く。何とか敦くんが出社する前だったので、見られずにすんだ。
探偵社に着くなり、事務員の春野さんに暖かい目で見られ、弁解をするが分かってるからいいよ、と言われた。(ちなみに太宰さんはその間国木田さんに問い詰められていた)
「ふふ。若いっていいなぁ」
「だから、私と太宰さんはそんな関係じゃあ――――!」
「同棲なんて聞いてませんよ!」
未だに勘違いし続ける春野さんにやきもきしていると、敦くんが鏡花ちゃんと共に出社してきた。敦くんは太宰さんの元へ行くなり、大きな声で云う。
話を聞く限り、敦くんと鏡花ちゃんが同棲をし始めたようだ。敦くんとはいえ、年頃の男女が同じ部屋で住むのはいかがかと思うけどなあ……。
「部屋が足りなくてねえ。それに新入り二人には家賃折半が財布に優しい」
「しかし!」
「それに彼女は同意してるよ」
ねぇ、と太宰さんが鏡花ちゃんに同意を求めると、鏡花ちゃんは指示なら、と答えた。すると、敦くんはきょろきょろと辺りを見渡し、私と目が合うと腕を捕んでそのまま太宰さんたちの元へ連れていかれる。背中に春野さんからの暖かい視線を感じた。
「な、なら!Aちゃんと一緒に住んだほうが良いのでは……!?」
「確かに!私なら一緒に住んでも大丈夫ですよ」
「駄目だ。Aの部屋は私の避難所だから」
「いや何のですか?」
訳がわからない理由だったので思わずツッコむ。え?と太宰さんは惚けた顔をした。敦くんはそんな私たちを交互に見つめて不思議そうな顔をした。鏡花ちゃんも頚をかしげている。
「敦くん」
太宰さんはちょいちょいと敦くんを手招きし、なにやらこそこそと話している。
「……鏡花ちゃん、太宰さんみたいな大人には絶対なっちゃ駄目だよ」
「わかった」
残された私は昨日の太宰さんを思い出して、鏡花ちゃんに忠告する。すると、こくりと鏡花ちゃんはうなずいてくれた。
しばらく太宰さんと敦くんは話し込んでいたが、敦くんが「判りました!頑張ります!」と生き生きとした表情で意気込んでいたので、何かまた入れ知恵をされたのだろう。
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時