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『 なんで、万葉は私に優しくするの。 』
「 恩人であり、友でもあるお主に優しくしてはいけぬのか？ 」
『 ちがう、だって万葉や蛍もパイモンも。経った数週間一緒に過ごしただけで…私の素性だって知らない。 』
「 隠したい事の一つや二つ、誰にでもあるでござるよ。 」
『 だとしても、私を信頼して…優しくする必要は無いの。 』
「 聞くが良い、A。 」
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「 拙者は耳が優れている、と言ったであろう？拙者の耳には悪意に満ちた音がA殿から感じ取れなかった。純粋無垢、その言葉が似合うぐらいには澄んだ綺麗な音をする心が。その心がある故に、拙者を助けてくれたであろう？ 」
「 それ以前に拙者は恩を返すと申した。それが素性を隠している不思議な人物でも、拙者は救済を求めている人がいれば手を差し伸べる。A殿が拙者に手を差し伸べてくれたように。 」
「 拙者にもA殿には話しておらぬ秘密がある。お主もそうかも知れぬが拙者はA殿と会話を交えたいが故に話し、璃月港を案内しようと拙者の"意思"で行動したまで。 」
「 結論を言うに、全ては拙者の意思で此処に。友人であるA殿と話しているのでござるよ。 」
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彼が発する言葉は温かく、心が自然にキュッと締められるような嬉しさが込み上げてきた。彼自身の意思で自分を気にかけて此処まで来させてくれた、それだけでも嬉しいのに言葉を紡いで私の気持ちを分かろうとしてくれる彼の優しさを無下にすることは出来なかった。
自然と自分の我慢していたリミットが外れたのか、ぶわっと涙が大量に溢れ出てきた。縋るように万葉の着物を少し摘んで泣く。
『 …わた、し 』
「 ？どうしたでござるか。 」
『 今、とっても嬉しくて。少しでも理解してくれる人がいるって気付けて…そんな素敵な人がこの世に沢山いるんだなって。 』
「 旅人やパイモンも、お主を思って言っているのであろう。洞天に帰ると良い、心配しているでござるよ。 」
『 万葉。 』
「 ん？ 」
『 ありがとう。 』
「 力になれたのであれば何よりでござる。 」
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ありがとう、と言えば万葉は微笑み返してくれた。
蛍やパイモンも、万葉も。あの鍾離さんは分からないが私の事を思って、私が話すその時まで待つようにしてくれていた。その配慮に気付けなかった私が軽率だった。
『 私、天気を操れるんだ。 』
静かな空間に私の言葉が響いた。
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終わり
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ふわな - とっても面白いです！これからどうなるのかとってよ楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2022年6月22日 0時) (
レス) @page9 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
パイナップルのバナナ - こんにちは！！（？）凄く好きだっ！！ってなりました！これからも頑張ってください⭐️ (2022年6月17日 20時) (レス) @page2 id: 1ffb1529af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彩 | 作成日時：2022年6月17日 7時
