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拙者も黄泉の国へと旅立ったのだろうか、と瞼を上げると必死そうな顔をして此方を見てくる女子(おなご)が一人。肩まで伸びるストレートな黒髪に、何もかも飲み込んでしまいそうな漆黒の目に見蕩れる。ふと、視線をお腹に映すと彼女の着物の柄の布が巻かれていた。ああ、まだ死んで居ないのだと察せば、彼女は必死になって治療を施してくれているのが分かった。少し緩く、不器用に巻かれているのも手慣れて居ないのか。それでも一生懸命に拙者に救済の手を差し伸べてくれた彼女を、恩人と呼ばない理由が無かった。




拙者は多少止血や体温が先程よりか良くなり、運良く一命を取り留めた。後はこの雨が止むのを待つだけ───なはずだったが。辺り一面雲一つない快晴に恵まれていた。この天気なら旅をするのも雨以上に楽しいだろう、と言わんばかりに。

拙者は耳が優れている。雨が止むのも分かるくらいには耳が良かったのである。その時は未だ雨が止む気配も無かったのが己自身も良く分かっていたが、彼女は"今から晴れる"と自身有りげに物申すものだった。所詮は拙者を安心させる為に言った戯言だろうと、そう思っていた。





光芒が草木に目掛けて一筋の光を放つのを洞穴から見て取れればと思えば、外に出ると先週振りの快晴が視界に写った。生まれて初めて己の耳で感じとれる自然の音が、意図も簡単に外れたのだ。



─────何が起こった。

そう興味を引き立たせるような異常気象に不安と、晴れると断言した彼女に対しての興味が膨れ上がる。この好奇心を抑える事が出来まい。旅をしている中で沢山の興味唆られるものを目にして来たが、この事象も己を高揚させるのには充分だった。


それに加えて彼女の素性が一般人と比較すると、かなり違うのだ。初めて外出したのが先週、璃月港に行ったことが無い。異常気象と呼ばれる大雨が降り始めたのも彼女の言う先週に当てはまっていて。彼女が何者なのかと、不思議と無意識に詮索をしていた。






彼女が気になる、もっと知りたいと自覚するようになるのはもっと先の話。









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■少女、買い物をする。→←◆流浪武士の独白。



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ふわな - とっても面白いです！これからどうなるのかとってよ楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2022年6月22日 0時) (レス) @page9 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
 パイナップルのバナナ - こんにちは！！（？）凄く好きだっ！！ってなりました！これからも頑張ってください⭐️ (2022年6月17日 20時) (レス) @page2 id: 1ffb1529af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名：彩 | 作成日時：2022年6月17日 7時

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