【歌い手】お願いだから嫌いにさせて

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SIDE:A


お化け屋敷のことはとりあえず忘れて、
私たちはとりあえず気に入った乗り物を周回した。

坂田は空中ブランコを大層気に入ったみたいで、3回繰り返し乗った。

その後坂田だけでコーヒーカップに乗った。

わたしはさっきの空中ブランコで酔ってしまったため外で見ていた。
坂田のカップだけ回転量がおかしかった。遠心力半端なさそう。

帰ってきた坂田の髪の毛は変な方向に行ったり、全体的にボサボサだった。
手ぐしでガシガシしたらある程度治ったのでOKだ。

その後もバイキングだったり射的だったりゴーカートだったり迷路だったり、他にもいろいろ。もちろん乗り物制覇は(ほぼ)果たした。


＊


太陽もすっかり沈み、空は真っ暗。
灯るのは木々に飾られた小さな電球。
それらは白く鈍く輝いている。

遠くには白や青、赤に黄色に紫に緑、ピンクに橙、美しく彩られているのが見える。


「なあなあ、A！
これ、上の方から見たらめちゃめちゃ綺麗やと思わん？」

「そうだね、多分すごく綺麗」

「じゃあ行こか！」

「え、どこに」

「決まってるやん！」


そして連れてこられたのは、乗り場。
だが、観覧車……ではなくジェットコースター。

「A！！！」

「なに！！」

「綺麗やね！！」

「そうだね！！なんで走ってる時に話しかけるの！！」

「ごめんー！！」


＊


「……ふー！楽しかったー！へへ！めちゃめちゃ綺麗やったわ！」

「まあそうだね、綺麗だった」

「A疲れとる？」

「ド朝から連れ回した癖に今更ですか坂田」

「ははは」

「もう……」


「そや！ゆったりしたやつ乗ろーや！
うーん……観覧車！まだ乗ってへんよな？」

「そうだね、観覧車で最後」

「ほな！行こか！」

「そうね」

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