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SIDE:A


……どうして、こうなってしまったのだろう。


ジェットコースターの後、空中ブランコやフリーフォールなど、絶叫系は一通り乗り尽くした。

坂田が他になんか絶叫系あったかなあ、と見回していた時、目に付いた場所。
そこに今、私はいる。

切実に、坂田を、殴りたい。切実に。

「殴りたい」

「A、怖がりすぎちゃう?おもろ」

「おもろ、じゃない殴る」

「暗いし暗いし殴る」

「そりゃお化け屋敷やし」

……そう、私は今お化け屋敷にいる。
大のお化け嫌いの私がお化け屋敷なんて入れるわけがないじゃないですか、引っ張ってきやがってあいつ。ゴリラかよ。

腹いせに腕を力いっぱい抱きしめる。
どちらかというと折ろうとする、の方が正しいかもしれない。

「腕痛いんやけど、A」

「お前が悪い」


目をつぶりながらひたすら足を進めていく。
もはや何かを考えることもしなくなり、歩くことがただの作業と化してしまっていた。

そのせいで感情はほぼ無に。
途中で出てきたお化けも難なくスルーしてしまい、少し申し訳ない気持ちになる。

そしてようやく出口。15分は歩いていただろうか。
ようやく光が見えて、少し安心する。

「良かった、もう出れる」

「途中A全く喋らんかったね、おもろかったわ」

「死ぬほど怖かったよ、今はもう平気だけど」

「そか、良かったな」

1歩、また1歩。
そして出口まであと7m弱。

もうすぐ、外に出れる。
そう思った瞬間、後ろから声が聞こえた。


「……ダ…ス…………ケ……テ」


ひた、ひた、と足音が聞こえる。
振り返ると、真っ白な服を着た髪の長い女性が1人。こちらを見ながら目を細めてニコリと笑っている。
……そして心做しか浮いているように見える。


「坂田」

「……おう」

意を決して体制を整えて、地面を蹴った。

「走れ!!!!!!!!」





出口に着くと、風がぶわっと髪を揺らす。

「お疲れ様でしたー」

ニコニコと笑うキャストさん。

「……あの、最後の女の人って本物ですか?機械ですか?浮いてましたけど、吊られてたんですかね?」

そう言うとキャストさんは首を傾げて、

「最後……?最後は声が聞こえるだけで人は居ませんよ……?」


坂田と顔を見合わせて

「……じゃあ、あれ、は、ほんも……」

「それ以上は……よくない……」


背筋が凍るような思いをした。

あれは本物だったのだろうか。

それを確かめる勇気は、私たちにはなかった。

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柚子(プロフ) - いい感じにすれ違って行ってますね(?)まぁ楽しみということです!頑張って下さい (2020年4月11日 22時) (レス) id: f5a2d726a8 (このIDを非表示/違反報告)
絵が上手くなりたい(プロフ) - うわぁ…気持ちは分かるけど絢香ちゃん腹黒だぁ…坂田さん、複雑な気持ちだろうな…。更新待ってますね (2020年4月11日 0時) (レス) id: e48c7240eb (このIDを非表示/違反報告)
きほん(プロフ) - はじめまして、とてもキュンキュンしながら読ませていただいています!ドキドキハラハラキュンキュンで、個人的にはどちらのオチも見てみたいですが、どうなるのかとても楽しみです! (2020年4月9日 0時) (レス) id: d19256ebb3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ - 年下組が夢主ちゃんのことでバチバチ(?)なっているのがキュンとしました。あと、作者様の書く文がとても好みです!その文才を私にも恵んで下さい…長文失礼しました。 (2020年4月3日 12時) (レス) id: 5d83f022ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しゃけ | 作成日時:2020年3月30日 0時

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