24 ページ24
SIDE:A
「見つけたっ……!」
扉がいきなり開き、現れたのは――――
「え、センラくん?なんで……?」
「なんでってなんでやねん!
もう、Aちゃんおらんから探したんやで?坂田と一緒に」
探してくれたんだ、2人とも。
「坂田と、一緒に……」
「なんやねん、俺じゃ不服?」
ははは、と笑うセンラくん。
「センラくんで、良かったなあ、なんて思ってたりしちゃ駄目かな」
今、坂田と顔を合わせたくない。
「……へ、なんや、いきなり、はは、びっくりするわあ、もう!いきなり言わんといて!」
熱いわあ、なんて言って顔をぱたぱたと仰いでいるセンラくん。
ここむしろ寒くないか。
「ほな、行こか?」
手をすっと差し出すセンラくん。
何に腹が立っているかって、こんな状況でも少しドキッとしてしまった自分に、だけど。
*
センラくんと一緒に教室に帰ってきた時、生憎授業中で、視線が一気に集まってきた。
その視線の中には、閉じ込めた張本人、月島さんも。
私はそちらを気にしないように、席に座った。
*
「あ゛〜〜、A!ほんまに良かった!死んでなくて良かったぁ……」
「大袈裟だよ」
「A可愛ええんやから、気ぃつけてや!」
「そうね」
「俺!それ話し聞いてないときの返事って知ってるんやからな!」
「そうね」
「おい!!」
するとやってくる絢香さん。
「……Aちゃん、大丈夫だった?
ごめんね、わたしが原因になってるみたいで」
覗き込むようにこちらを見てくる。
「大丈夫、怪我してないし。」
「ならよかった!へへ」
ふんわりと笑う絢香さん。女の子って感じの子。可愛らしい雰囲気をまとっていて、すごい。
「ふふ、絢香ちゃん、可愛ええなあ」
ボソリと零れるように呟く坂田の声を聞き、顔をすぐに真っ赤に染めていく絢香さん。
「い、いきなり!照れちゃうからやめてよ坂田くん……!!もう……」
「へへへ」
眉を下げ、微笑む坂田。
なんだかもやもやして、私はその場から離れた。
「坂田、ほんま酷いなあ、絢香さんだって、あれ無意識やし。大丈夫?Aちゃん」
「あぁ、センラくん。大丈夫。」
「Aちゃん教室出て、付いてきたら案の定泣きそうな顔しとるし」
「してないし」
「えっ、でも涙目に」
「なってない!」
「ふは、あんま溜め込まんといてね」
「……うん」
343人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚子(プロフ) - いい感じにすれ違って行ってますね(?)まぁ楽しみということです!頑張って下さい (2020年4月11日 22時) (レス) id: f5a2d726a8 (このIDを非表示/違反報告)
絵が上手くなりたい(プロフ) - うわぁ…気持ちは分かるけど絢香ちゃん腹黒だぁ…坂田さん、複雑な気持ちだろうな…。更新待ってますね (2020年4月11日 0時) (レス) id: e48c7240eb (このIDを非表示/違反報告)
きほん(プロフ) - はじめまして、とてもキュンキュンしながら読ませていただいています!ドキドキハラハラキュンキュンで、個人的にはどちらのオチも見てみたいですが、どうなるのかとても楽しみです! (2020年4月9日 0時) (レス) id: d19256ebb3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ - 年下組が夢主ちゃんのことでバチバチ(?)なっているのがキュンとしました。あと、作者様の書く文がとても好みです!その文才を私にも恵んで下さい…長文失礼しました。 (2020年4月3日 12時) (レス) id: 5d83f022ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しゃけ | 作成日時:2020年3月30日 0時