misbehave Ⅱ (ページ7)

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｢…岸。岸は、上手な嘘、つける？｣

岸が腕を緩めて私の顔を覗いた

｢それだけの覚悟はある？美玲にも、樹にも、風磨にも、佐藤さんや会社の人、家族。岸の周りの人だけじゃない。世界中に嘘をついて欺く自信はある？｣

じっと岸の目を見て言った。

｢…ある。俺は覚悟を決めて来た。俺が幸せになれなくても、Aは俺が幸せにしたい。｣

岸は真剣な目だった。

岸が言ってくれた
幸せにする。の言葉が凄く嬉しかった。

でも…

｢…、岸。私達は、もう、常識から外れた関係になっちゃったんだよ。私達は、幸せにはなれない。お互いの罪を舐めあって生きていくの。それしか私達に残された道はない。｣

岸を責めるような事を言っておきながら私だって同罪なんだ。
あの時置き去りにしたつもりの想いがどんどん蘇ってきて自分の中に眠っていた好き。という気持ちの堤防がいとも簡単に崩れ落ちた。

岸に言った言葉は全部自分自身に言い聞かせているようなもので、私だって…
もう、後には引けない。

覚悟はとっくの昔に決まっていたんだ。

.

｢岸。私も岸が好き。ずっと好きだった。｣

岸はうん。とたった一言だけ呟いてまた、抱き締めていた腕に力を込めた。

｢A…、巻き込んでごめん。でも、俺はAがいい。一緒に墜ちよう。｣

岸の消え入りそうな声は私にスッと入ってきて身体中に溶けて広がった。