乗り越えろ、過去を。【2】

3 ページ29

ドクターside





ドクター「コマンダー、目を覚ましたよ。」



ファルコン「…どうだった？」



ドクター「どうなんだろうね。

起きてすぐ、一人になりたいって言われたから…正直、よく分からない。」



ファルコン「そっか…」




みんなが集まるリビングルームは、なんだか暗い雰囲気が漂っている。




スコープ「コマンダーのこと。

ジャニーズの幹部に聞いてみたけど、何も知らないって。」



ソニック「え、そうなの？」



スコープ「なんか、亡くなった社長しか詳しいことは知らないらしいよ。」





特殊感染体との戦いにおいて、大いなるリーダーシップを発揮していた社長は。



コマンダーを僕らのグループに追加加入させることを独断で決めたすぐ後に、病気で亡くなってしまった。



僕らがコマンダーの加入に否定的だったのは、そういった事情もあったのだけれど。





ファルコン「…俺は。

コマンダーはもう、立派な仲間だと思ってる。


あいつの背負ってるモノを少しでも軽くしてやりたいと思うし。

そのためにも、一回腹割って話す必要があるのかなって思ってる。」




ラピッド「…でも。

それってちょっと、酷じゃないか…？」



ファルコン「え？」



ラピッド「あの時のコマンダーの怯え方は、尋常じゃなかった。

相当辛い過去を持ってるんだと思う。


それを言わせるのって…負担が大きすぎるような気がして。」



ファルコン「そうかもしれない。


…でも。

今はコマンダーしか、彼の過去を知る人物がいない。」



「「……。」」



ドクター「だとしても。

今は、その時じゃないと思う。


まずはコマンダーの心のケアが優先。


それまでは、僕が許可しない。」




しばしの間、ファルコンJrと見つめ合う。




ファルコン「……それもそうだな。」



ドクター「…君が話のわかる人でよかったよ。」





冗談混じりに呟いて、空気を変えるようにニコリと笑った。




ドクター「なんか、喉乾いたな。」



SHINOBI「あ、お茶でも飲む？」



ドクター「いいの？なんか悪いね。」





…まぁ、そう言わせたんだけど。




暗い話はここで終わり、と。


そのサインに気づいたスコープがたわいもない話を振る。




それに応えるようにソニックハンターが話を盛り上げ、少しづついつも通りの会話が始まる。





…その中で、黙々とパソコンを操作するギークと。



自分の世界に入り考え込んでいるバレットが、僕は少し気になっていた。

▽悩み→←2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す