乗り越えろ、過去を。【2】

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コマンダーside





心配そうに俺を見るドクターと、焼けるような熱を持つ頬に、意識を失う前のことを思い出す。



反射的に、ぶるりと体が大きく震えた。





コマンダー「…アイツは、」



ドクター「バレットたちをみて、逃げていった。

だから、もう大丈夫だよ。」



コマンダー「……そうか。」




大丈夫、という言葉に。


先ほどまで思い出していたニノさんが重なる。




ドクター「痛みはどう？」



コマンダー「問題ない。」



ドクター「さっき痛そうにしてたけど？」



コマンダー「…。」



ドクター「…まったく。答えないつもりね。

じゃあ、何かしてほしいことある？」



コマンダー「…。

…一人に、してくれ。」



ドクター「…わかった。

何かあったら、そのナースコール押してね。」





少し困り顔のドクターは、意外と簡単にいなくなってくれた。


彼なりに気を使ってくれているのだろうか。





コマンダー「…。」





重たい体を再びベッドに沈め、思考を巡らす。





…どこから、見られていた？


どこまで知られた？





ざわざわと、胸のあたりが落ち着かない。





…怖いのか？俺は。


こんな俺を見て、あいつらが幻滅するのが。






…それがどうしたっていうんだ。



俺は一体、何を恐れているんだ…？





コマンダー「…わかんねぇ…」





なんだか無性に泣きたい気分になった。



右腕でまぶたのあたりを覆って。



必死に押さえているのに、隙間からぽろぽろと涙が溢れてくる。







…泣き虫だった過去を断ち切ろうと、強気に生きてきた。


気丈に振る舞っていた。






それでもやはり、過去からは逃れられない。



俺は昔から変わっていない。



…変われない。たぶん、一生。







久々に泣いたからか、頭の中がぼーっとしてくる。






…ねぇ、ニノさん。



どうしてあなたは、こんな俺を生かしたの？



自分の命を張ってまで、俺をあの地獄から救ってくれたの…？

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