BE ALIVE 〜強く、生きる〜 その弐

episode72 ページ28

慧side




先に走り出した知念と高木。



二人がうまく敵を誘導し、囮になった隙に俺たちは階段を駆け上がり、2階へと向かう。





さっき調べたけど、この建物は3階建てみたい。



つまり、黒澤は3階にいる可能性が高い。



…てことは、あと一回くらいは仕掛けてくるかな。





『次は、俺が。』





きっと薮も圭人も同じ気持ちだろう。



もしまた敵が出てきたら、俺が相手になって時間稼ぎするんだ…！！






慧「この道をまっすぐ。二つ目の角を左に曲がれば階段がある！」





走りながらも情報収集は続ける。少しでも役に立ちたいから。






薮「…ストップ！！」






突然の薮の大声に、反射的に動きを止める。





涼「…囲まれてるな。」





周りを見渡せば、前後左右から走ってくるたくさんの敵。



…やっぱりそう簡単には行かせてくれないか。





慧「俺が相手するから。山田は走り続けろ。」



薮「ちょっと待って。

んー…ななめ右の方なら、突破できそうだ。」



圭「じゃあ俺が盾になってそこへ突っ込むよ。

山ちゃんと大ちゃんは、後からついてきて？」



涼「…でも！」



薮「バーカ！


黒澤を倒せるのはお前だけなんだ。

俺たちのことは気にしないで、さっさと行ってこい！」




半ばあきれ顔の薮。




涼「…わりぃな、じゃあ頼むよ。」




俺らの強い意志が伝わったのか、任せてくれる気になったようだ。



山田と力強いグータッチをしながら、一言話しかける。




慧「山田に解放してもらった力、使わせてもらうよ。」



涼「…でも、あの力は…！」



慧「身体にすげぇ負担がかかる。

そう言いたいんだろ？

でも、山田の為に使いたいんだ。


…心配すんな。なるべく負担かけないようにするから。」



涼「…わかった。

でも、無理だけはするなよ？」



慧「ああ！」



薮「圭人は山田と大ちゃんを先導。

俺と慧はその反対側に移動して、敵をなるべく多く引き付ける。

…いいな？」



全「おう！！」



薮「じゃあ…作戦開始っ！！」





薮の言葉を合図に、俺は敵の元へと突っ込んだ…

episode73→←episode71

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す