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違和感のあるその間を岩泉は何も言わず見ていた。
「Aから見て、1年の動きはどうだった?」
「やぱ段チでいいよ。国見は全力でやってなかったかな。あいつうまくサボってる」
「やっぱりか」
一人冷や汗を掻いてる金田一が面白いが、可哀想なのでちゃんとフォローする。
「金田一、そんな顔しなくていいぞ。無理矢理動かすとか、そういうのはうちのメンバーは好きじゃない。それに、」
使うのは及川だから、と言えば複雑そうな顔になった。
「そういや、及川からなんか連絡来たか?」
「いや、ケータイ見てねぇからわかんねぇな」
「あ、来てるよ」
松川が近くに置いていた俺のスマホを覗き込む。それに反応して手を伸ばすとスマホを手渡された。ロックを解除してメールを読む。
『捻挫は大したことなかったよ!練習は再来週の診察終わってからだけど、軽くなら大丈夫だってさ!』
「先生がAちゃんのこと褒めてたよ、って。それは遠回しに及川怒られてんじゃね?」
「そのまま送ったれ」
ニヤニヤしながら俺の肩に肘を乗せてメールを覗き見る松川と二人で笑う。松川の言う通りにそのまま返す。
送信したのを見た松川が俺の頭を雑に撫でた。
「汗でベタベタだからやめた方いいぞ」
髪を直しながら言うと「気にし過ぎ」と笑われた。
「俺らの方が汗だくだし。」
「それもそうな」
「今日はもう終わりだ」
岩泉の声で金田一と2・3年が部室に戻って行った。松川と岩泉がその場に残ったので聞くことにした。
「お前ら、なんかあった?」
「いや」
二人とも同じトーンで返してくるのでやめにした。
「俺らも戻るべ」
「だな」
平日ラストの部活を終え、明日に備えさせる。
松川と並んで帰り道を歩く。徐に松川が口を開いた。
「そういや今日金曜だったのな」
「うん」
「走ってよかったの?」
「明日サボる」
サボりに入んねー、と笑われた。
土日の部活は夕方まで。そのあとは出された課題を片付ける。いつものように過ごしているとあっという間に終わった。
週が明け、月曜はオフだ。
インターホンが鳴る。
「おはよ、松川」
「はよ。行くか」
「行ってきます」
二人でリビングに声を掛ける。返事は聞かずに家を出る。
「土日どっか行けばよかったな」
「だな。頭になかったわ」
通話アプリで課題をやりながら話していたが、どこかに出掛けるなんて発想はなかった。
「まぁ、落ち着いたら行こ」
「だな」
「よーっす」
花巻と合流して学校へ向かう。
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シャバ僧(プロフ) - 優愛さん» ご要望ありがとうございます!負けず嫌いな男主なので、まだ未定ですが、一応別で男主受け松川夢ございます……よろしければ、どうぞ(宣伝) (2022年12月8日 23時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
優愛(プロフ) - 主人公は受けがいい!! (2022年12月8日 21時) (レス) @page35 id: 5e22586db0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年6月14日 0時