46 ページ47
岩泉の方へ行くと、岩泉も気が付いているようだった。
「昨日より少ないな」
「まぁ毎年のことだろ」
点呼とってくる、と言えば岩泉に止められた。
「どした？」
「何か伝え忘れてんじゃねぇのか？」
「……あ、そう。監督が名簿につけたまんま一軍二軍分けろって」
バインダーを岩泉と並んで見る。あまり目線の高さが変わらないこともあり、横を見るとすぐそこに顔がある。岩泉と目が合ったが、それはすぐに伏せられた。
「バツが付いてるヤツは今何人来てる？」
「いねぇかな。あー、一人だけ？リベロ希望の」
「なるほどな」
んじゃ、と言って今度こそ点呼をとりに行く。
「お疲れ様。急で申し訳ないんだけど、今日はゲームついでに一軍と二軍にそれぞれ混ざってもらう。今から一軍に分ける人の名前を上げるな。」
1年で一軍に分けられた奴はほぼいない。
「国見」
「……はい」
(機嫌悪いのか？)
「金田一」
「はい！」
眠そうな顔の国見と正反対に元気が溢れてる金田一がこちらに来た。一軍側に混ざるよう伝える。
「じゃあ次は二軍な。今から呼ぶ奴だけここに残ってくれ。」
他はコートに移動、と言うと少し1年が騒ついた。リベロ希望者の名前を呼ぶ。皆一様に安心した顔で移動していった。
「何で残されたか、想像はつくか？」
「はい……」
「うん。それで提案。悔しいかもしんないけどマネやらねぇか？」
「は？」
イラついたように俺を睨み上げながら言う。威勢が良くてよろしい、と頭の中で言いながらさらに言葉を続けた。
「選択としてはバレーをやめるか、マネになるか。まぁどっちもやめることにはなるけど、仕事を二人がかりでやれば二軍の手伝いくらいはできる。」
「はぁ……」
「因みに俺も中学まではプレーヤーだったよ。でも及川を見てやめた。あいつはすごい。君も、うちの渡を見て思ったんじゃない？」
あいつは元セッターだけど、と言えば悔しそうに顔を歪めた。
「まぁ、強制じゃないから。プレーヤーがいいならどっかのサークルに行くのもありだろうし。」
そう言うとリベロ希望の生徒は頭を下げて体育館を後にした。ゲームの準備を手分けして進めている部員たちが分かるように予備のビブスを4箱出す。
「どうなった？」
「マネのスカウトしたら帰っちゃった」
「懲りねぇな」
呆れたように言う岩泉に苦笑いする。
「だって、マネがいねぇのは可哀想だよ」
岩泉はビブスを着ながら「Aのせいじゃない」と言って部員の方へ戻った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 157人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シャバ僧(プロフ) - 優愛さん» ご要望ありがとうございます！負けず嫌いな男主なので、まだ未定ですが、一応別で男主受け松川夢ございます……よろしければ、どうぞ(宣伝) (2022年12月8日 23時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
優愛(プロフ) - 主人公は受けがいい!! (2022年12月8日 21時) (レス) @page35 id: 5e22586db0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年6月14日 0時
