4 ページ5
脇に挟んでいたノートを開き、一人一人のフォームやクセを書き出す。改善している点と、逆に悪くなってしまった点。とりあえず殴り書きで目に入った情報を整理していく。
「本当にお前はいい目を持っているよ」
「……ありがとうございます」
中学までずっとセッターだった。情報が沢山あるコートを把握するのが楽しかった。技術もそこそこで、青城ではないが推薦も来ていた。
「もういいのか？バレーは」
「及川見ちゃったら、自信なんて潰えますよ。」
俺はアイツらを支える方が性に合ってます。
そう言った俺を入畑監督は優しい目で見ていた。
圧倒的なセンス、磨かれた技術。俺にないものを持った同級生に、本能で『敵わない』と察した。部活見学に行った帰り、松川にバレーを辞めると告げた。
「ホントにいいの？辞めて」
「俺じゃああそこで通用しない。レベルが違う」
「これから上がってくもんでしょ」
困った顔で俺を見ている松川に泣きそうになった。
「俺はAのトス好きだけどな」
「そりゃ打ち慣れてるから」
「だから辞めてほしくないんだけどさ。」
もう決めたならしゃーないな、と優しく弱い俺を受け入れて、今も親友としてそばにいさせてくれる。そんな松川が好きだ。
「お前はいいマネージャーだ。自慢のな」
「ありがとうございます」
本数を数えていたカウンターの数字を見てホイッスルを鳴らす。
「次！スパイク練！ブロックもついて！」
俺も入る、とジャージの上着を脱いで二軍側のコートにブロッカーとして立つ。
「トスはもっとアンテナギリギリまで！短いと打ち分けしにくいよ！」
「はい！」
アドバイスをしながらブロックに飛ぶ。数本ドシャットをしていると、視線を感じた。振り返ると花巻がこちらをニヤニヤしながら見ていた。
チラリと時計を見る。もう7時半を少し過ぎていた。
レシーバーの一人に断りを入れて抜け、別の部員を入れる。
洗濯カゴを持って走り、干していたタオルを一気に取り込む。走って準備室に置いて元々畳んであったタオルを出し、スクイズのカゴと一緒に持って体育館へ戻る。
ホイッスルを鳴らす。
「今日はこの後ストレッチして終わりで！課題終わってない人は協力し合ってね！」
声を掛けながらスクイズとタオルを渡していく。全員に行き渡ったところで、花巻に肩を組まれた。
「ブロックキレキレだったんじゃねーの」
「たまにはカッコつけたいじゃん」
そんな俺と花巻を松川が見ていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 157人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シャバ僧(プロフ) - 優愛さん» ご要望ありがとうございます！負けず嫌いな男主なので、まだ未定ですが、一応別で男主受け松川夢ございます……よろしければ、どうぞ(宣伝) (2022年12月8日 23時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
優愛(プロフ) - 主人公は受けがいい!! (2022年12月8日 21時) (レス) @page35 id: 5e22586db0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年6月14日 0時
