牡丹6 ページ6
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おちゃらけたように笑う目の前の男はまるで道化師だ
道化師だとかピエロだとか……そういう薄気味悪い類のものだ
親を殺されたと笑って言ってのけるこの男は生かしてはおけないと思った
私は急いで銃を両手で構えて照準を合わせたけど、何故か視界が遮られた
「若様なぜですっ!」
「殺せばいいって話じゃないでしょ。ちょっとは頭使いなよ」
でもこの男は軽々しく私たちを復讐相手と言ってのけたのだ
若様にもしものことがあれば私がまずいのだ
「危ないから下がってください」
「今僕が話してるんだけど。ちょっと黙ってて」
真っ赤な瞳が私を睨みつけた
なぜ私が怒られなくちゃいけないのか分からない
明らかにこのさかたという男は敵ではないか
今回の標的とは違うけれど生かしておく意味がわからない
でも私は仕方なく銃のセーフーティーを付け直して、腕を下ろした
「殺さないんやな」
「まぁね。僕も色々と組織内の動きを探らなくちゃならない立場なので
その話聞かせてよ、両親の」
「敵さんの本拠地でか?」
「もちろん、ここを潰してからだよ」
若様もついに刀をしまってしまって、普通に話し出す
若様の方が私より男と距離が近いので、男が急に動き出しても私にはどうすることも出来ない
若様の腕を引っ張りたい衝動に耐えながら、私は2人の動向を見守ることしか出来なかった
「因みに……。潰すってのは殺すんか?」
「どうだろう。僕は見ての通り非力だからさ
そもそもこの組織自体はどうでも良くて、うちの中にいる裏切り者を炙り出したいだけなんだよね」
「んじゃ、俺のやり方でええか?潰すのは賛成だけど、殺しは反対だ」
「いけません、若様!こんな信頼もない男に乗れません!」
流れで若様が頷いてしまいそうで、私は慌てて止める
こんな変な男の立てた作戦で若様に傷がついてみろ
私の首が吹っ飛んでしまう
無理だ。ダメだ。話に乗る意味がわからない!
「……っとまぁ。うちのうるさいのが、自分の保身のために必死だから僕は戻るよ
だから、A。」
「はい」
「キミがさかたとここを潰してきて」
「ど、どうしてそう───」
「はい。でしょ?」
「…はぃ」
こんのぉ、パーフェクトイカレポンチき上司め
ほんと嫌い!
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鈴凛(プロフ) - さ凄く好きです!! なんなんですか、文才ありすぎでしょう。 更新頑張ってください! 楽しみに待っています! (2021年1月4日 0時) (レス) id: 7339462afc (このIDを非表示/違反報告)
もろこ - もう好きという感想しか出てこなくなってしまいました好きです............更新めちゃんこ楽しみに待ってます!!!!! (2021年1月2日 3時) (レス) id: 132f83efa1 (このIDを非表示/違反報告)
優鈴(プロフ) - パールさん» いえいえ、!間違いは誰にでもあるのでだいじょぶですよ〜!(о´∀`о) (2020年12月31日 1時) (レス) id: 947ace3b30 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 優鈴さん» ありがとうございます(泣)。早急に直させていただきました! (2020年12月31日 1時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
優鈴(プロフ) - 順番がぁ……!20、23、22になっちゃってますよ、! (2020年12月31日 1時) (レス) id: 947ace3b30 (このIDを非表示/違反報告)
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