牡丹が落ちる時【mfsk】

牡丹48 ページ48

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難儀な部下に総長の命令だと伝えさかたの部屋を用意させ、面倒なので根回しも任せておいた。

こういうとき自分が若様の補佐であの男の娘で良かったと思ってしまう。

あとは…さかたを迎えに行くだけ。

こんなに憂鬱なのはいつぶりだろうか。

足が重い。

「A」

さかたを迎えに行くため車を手配していると後ろから名前を呼ばれる。

…若様だ。

「どこに行くの？」

あぁ、そんな不安そうな顔をしないで。

胸が苦しくて仕方がない。

「…さかたを迎えに行ってきます」

そう言い残し若様の顔を見ることもなく屋敷を出て車に乗る。

一人になると寂しさが増加するのはなぜだろうか。

でも今の私は誰かといてもこの寂しさは消えないのだろう。

信号機が赤になって止まると頭の中でさかたの顔が浮かんできた。

赤は…止まれの赤。

もしかしたら彼は進んでいるようでそう錯覚しているだけで止まっているのかもしれない。

なんて、根拠のない言葉が脳を通り過ぎる。

彼が赤なら私は何色だろうか。

なんてどうでもいいことを考えているとあっという間にさかたの事務所についてしまい扉を開ける。

「さか…」

「なんで勝手に入ってくんねん！！！！」

ついいつもの癖で扉を開けるとパンツ姿のさかたが目の前にいた。

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