牡丹が落ちる時【mfsk】

牡丹18 ページ18

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「っ…ん…」

目が覚めるとそこはいつも通りの自分の部屋だった。

スーツのまま横になっていたせいでシワがついてしまっていてため息が出た。

…わたし、なにして…

少し痛む頭を抑えながら思い出そうとするがさかたと別れたところまでしか思い出せなかった。

何かを頼まれた気がする…。

じっとしているのも落ち着かないので立ち上がると胸ポケットから白い紙が飛び出ていた。

「これは…」

探偵事務所
さかた
番号→xxx-xxxx-xxxx
住所→xx中央区xxx一丁目xxxx

それはさかたに入れられた電話番号と住所が書かれた名刺だった。

＿＿＿＿『オレと組まへん？』

あのとき言われたさかたの言葉が脳裏を駆け巡る。

認めたくないけどあのとき、

私は、あのとき、心が揺らいだ。

一瞬でもあいつと手を組んでもいいかも。と思ってしまったのだ。

これは組織への裏切りだ。

そんなの、許されない。

若様を裏切るなんて、無理だ。

駄目に決まってる。

生まれたときから私はあの人につくと決まっていたのだから。

補佐が若頭を裏切るなんて、そんなことあってはならないんだ。

手に持っている名刺をグシャと握りしめる。

…お前の思い通りにはいかないよ。

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