世界で一番【あほの坂田】

世界で16 ページ18

A サイド

場所を特定し屋根をつたって目的地まで進む。

その間、私達は無言だった。

ただただ志麻の殺気が宙を舞うだけだった。

し「、、、俺はお前を信頼してないわけじゃないんよ

でももしものことがあってからじゃ

、、、、遅いんよ」

たしかにそうだ。

いつ、誰が、どこで、私達の主人を狙うかはわからないのだ。

私たちにはアニメや小説のような特別な力はないのだから。

『センラ様は、遊びたいんだろうね』

その言葉に志麻は変な顔をした。

面白。

『何も疑わずにご飯を食べたい

なにも気にせずバカみたいに遊びたい

自分の周りをどんどん消えていく人たちに気が気じゃなかっただろう

でも、志麻は違う。

ずっと、一緒だ。

誰よりも親しく、そして誰よりも彼を大事にしている

お前らは主人と従者っていうより

友達の方が関係的には近い気がするけどね』

そんな、志麻を、センラは羨ましいと思っていたんじゃないだろうか。

そんなことを言えば志麻は少し泣きそうな顔をした。

『泣くなよ？これからが本番なんだからさ』

そう言うと志麻はキュッ、と唇を噛んで前を見た。

もう曇りはない。

し「当たり前やろ、俺を誰やと思ってんねん」

さっきよりもスピードを上げて全力疾走する。

何キロを超えているだろうか。

新幹線と同じくらいだろうか。
　
し「あのセンラさんの"友達"やで？」

ニヤリ、と笑った志麻の顔は少しだけ輝いて見えた。

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