本当の理由 ページ50
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「お前んとこの両親は他の組に狙われちまってな。幸い、一人暮らしをしてたお前が被害に遭うことはなかったが…。いつ家がバレるか分からねぇから」
『…それで、私はここに。』
「何も言われなかったんだろ。それはあいつらなりにお前を愛してるから何も言わなかったんだ。」
『理由は分かりました。…それで、両親は無事なんですか?』
とりあえず、ここに預けられた理由が知れたから良かったものの。両親の安否は確認出来ていない。
今まで黙っていたトントンさんが口を開いた。
tn「それなら安心し。コネシマとシャオロンが保護して家まで帰したって言うとったで。この前の抗争した組の奴らやったんよ。」
『無事、ですか…。よかった』
両親が無事なら、それでいい。緊張が一気に解けて、口元が緩む。
しかし、両親の安否とは別に別の問題が出来てしまった。
『…全部丸くは収まってなかった。あの、私がトントンさんと婚約している件についてお聞きしても?』
「やから、お前んとこの両親がそれでええって言うたんや。Aも満更じゃないやろ?うちの息子はええ男やし。な?
tn「急に話振んなや親父…。俺は、Aやったらええなぁと思っとるけど。」
急すぎる。まだ、心の整理もついてなければ、私はまだ成人すらしてない。大学だってあるし。
結婚なんて、考えたこともないのだから時間がほしい。第一、好きじゃない人との結婚なんて苦痛でしかないだろう。
『…好きじゃない人と結婚なんて出来ません。』
「盛大に振られとるぞ、屯平。お前Aに何したんや。」
tn「何もしてへんわ!…でも、好きになってもらえたらええんやな?」
『トントンさんだって、私の事好きじゃないでしょう?』
「何言うとんねん。こいつはお前がうちに来てからしょっちゅう…」
悪い顔をした組長さんの口を塞いだトントンさんの顔は、般若みたいになっていて赤く染っている。
tn「余計なこと言うな親父!と、とにかく!俺の事好きになってもらえるように色々するから、はよ好きになってな?A」
『え、えぇ…』
どうやら私、若頭さんの婚約者になったみたいです。どうしたらいいんですか、父さん。
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