真夜中の尋ね人 ページ18
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夜も更けた頃、ふと喉が渇いて台所に行こうかと襖を開ければ庭に倒れている人がいる。
急展開に冷や汗が出る。もし、この組の人じゃなかったら…とも思うけれど倒れている人がいて無視するほど腐りきった心は持ち合わせていない。
なるべく音を立てないようにその人に近づけば、案外傷ついたりボロボロにはなっていない様子。月明かりが照らして、それが誰か分かった。
『…ゾムさん?』
zm「…ぁ、Aさ、ん…?」
『大丈夫ですか…?』
zm「んー……」
疲れているのか、あまりハキハキとした返事が出来ないらしい。過酷な仕事だったのかもしれない。確か、夜にしか会えないとか言ってたもんな…。
それにしたって、まだ肌寒い季節だ。こんなところで眠っていたら風邪をひくだろう。
『立てますか?』
zm「力入らん…」
『…なら、支えるので。とりあえず家の中入りましょう。風邪ひいちゃいますよ』
zm「すまんな、ありがとう…」
私よりも背が高くて、筋肉量もある男の人を一人で支えるのは無理があったかもしれない。それでも、彼をこのまま放っておく訳にもいかないし。
『よい、しょ…!お部屋がどこにあるのかは分からないので、とりあえず待ってくださいね。お布団出します。』
zm「…」
この短い距離でも疲れるんだから、部屋までなんて無理に決まってる。とりあえず私の使わせてもらってる部屋には運べたし、布団を敷いて寝てもらおう。
『敷けたのでどうぞ、ゾムさん』
そう声を掛ければ、どこからか地響きのような音が聞こえた。首を傾げていれば、彼を見て気づく。
『…お腹空いてますか?』
zm「朝からなんも食うとらん…」
『夕飯の残りあるので、取ってきますね』
すぐ取ってこようと腰を上げれば、足首を掴まれる。転びそうになるも、何とか耐えた。
『ぞ、ゾムさん…?』
zm「…とりあえず手洗いたいし、着替えたいから部屋行くわ。肩貸して…」
もう一度彼に肩を貸すことになりそうだ。
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