・ ページ11
***
冷蔵庫の中には大量の食材、食材食材…。大所帯の食事を作るためにはこんなにもたくさん必要なのか。
いやいや、私順応するの早過ぎない？これが、私の仕事なの？もっとこう、どこかのお店に連れていかれるだとか、臓器を売られるだとか…。いろいろ考えてたのに。
さっきも一瞬思ったけど、ただ食事を作るだけで借金を返せるのか？
悶々と考えていれば、何やら廊下が騒がしい。火は止めたし、少し覗こうかなと顔を出した瞬間。
『えっ、何してるんですか』
ci｢あ〜〜A〜〜！！たすけてぇ〜｣
rbr｢あぁ、ごめんなぁ。何もあらへんよ。ほらはよ上がれって。邪魔になるやろ｣
ci｢痛すぎて立てへんの！うぅ…A〜｣
そんなに名前を呼ばれたって、私みたいな、ただの女子大生に何ができるんだろうか。とりあえず、呼ばれてはいるし彼らの元に足を運ぶ。
『…随分ボロボロですね。』
rbr｢さっきまで民事介入行っててんけど、ボコボコにされたみたいでなぁ。何とかシバいてきたらしいねんけど、下のやつらが運んでくれてな｣
ci｢痛いぃ〜〜｣
『お大事になさってくださいね』
やっぱり、私に出来ることなんてなさそうだし。お昼もまだ作りかけだからとその場を後にしようとすれば、踏み出そうとした足首を掴まれて危うく転ぶところだった。
rbr｢あ、おい！Aさん転けるやろ！｣
ci｢A〜居間まで運んで〜〜｣
『…私より背の高い人を運べと？非力ですが』
rbr｢…はぁ。足持ってくれるか？｣
ci｢え？運ぶってそういう？ま、こわい、こわい！なぁ！下ろして！怖いって！｣
運べと言われたんだから、運んでいるまでだ。ただ、体が宙に浮いている訳だしそりゃあ怖いだろう。
じたばたとするチーノさんを無視して居間に着けば、勢いよく座布団の上に下ろす。
ci｢い゛っ?!もっと丁寧に下ろして?!｣
rbr｢ごめんなぁ、手伝わせて。後はどうにかするわ｣
『いえ、大丈夫です。』
後ろで何か聞こえるけど知らない知らない。私の仕事は食事を作ること。ただ、それだけなんだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 208人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
