〜第一章〜 海 【歌い手】 2

【57】雑談 ページ7

Aside



「疲れたし、もうカラオケ行くか。」

「いや早いわ。」


Souさんの歌みたのレコーディング。
と、MIX。


『そうさんそうさん』


今のレコーディングで、少し気になるところがあった。


『有罪(ｷﾞﾙﾃﾞｨ) のとこ、グルーブ意識して少し間を開けたら、いいかも…』

「ほうほう」

『Souさんの声、優しくて甘い感じなので、少しの間が色っぽく聞こえると思うんです』

「ふむふむ」


甘く、優しい声。
一つ、もう一つ欲しい


何か


高校生というのもあるけれど、


色っぽい艶めかしい声。
それが、大切なのかも。



「なるほど、やってみる。」

「MIX間に合うのかよ」

「大丈夫！まだ一週間あるし」



＿＿＿




『飲み物何がいいですか？』

「俺コーラ〜」

「カルピス」

「お茶」

「じゃあ俺も」



部屋を出て、ドリンクバーに向かう途中、後ろから
3年の晴也さんが僕を呼ぶ。

晴也さんは歳も近いため、よく勉強を教えてくれたり、お兄ちゃんみたいな感じだ。


みんなそうだけども。



「ピースくんはさ、彼女とかいないの？」

『いないですよ』



えーと、微笑みでもさ、と僕の顔を覗き込む


「なんか、香水の匂いするけど」


記憶を辿り、うーんと考える


『あー、女の人が打ち合わせでよく居るからかも知れないです』

「ふーん」


なんでみんな僕に彼女いると思うのか…



｢彼女欲しいとか思わないの？｣
『いやぁ、今は忙しいし大変そうだな〜って』
｢流石期待の新人ってだけあるわ｣

『ﾊｽﾞｶｼｲｶﾗﾔﾒｸﾀﾞｻｲ』


ドリンクを入れ、アイスを作り
部屋に戻る。


色々な部屋から歌声が聞こえる中

ひとつ、特徴的な声がある。


中性的で、叫ぶようで苦しそうで。
そして、何よりうまかった。




「ピース？」

『は、はい！行きます』


声の主は…




「かっこよくなりたい」

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