【53】憧れ ページ3
そらる side
予定時間一時間前。早めに着いてしまった為、
天月の楽屋に向かってみると、天月は発声やストレッチの最中。準備真っ只中だった。
邪魔したら悪い。そう思い関係者席に向かうとそこはステージの最終確認をする機械の音だけが響いていた。
そこにある人影。大人びた容姿にまだ幼い瞳。
瞳も身長も、まだ会った頃から大して経っていないのにも関わらず、かなり大きくなった様に感じる。
「お疲れ様。また身長伸びたんじゃない?」
『お疲れ様です。はい171cmになっていました』
「俺らよりでかくなるかもな」
少しの微笑み。こうして話すのは初めての様な気がする。
横に腰かけると「少しいじってもいいですか?」とノートパソコンを取り出し、カタカタと始める。
Aに許可を貰って覗き込んだ画面は、You○ubeのコメント欄。歌ってみたのコメント殆どに目を通しているみたいだった。最後まで目を通すと次はツ◯ッター。全てにリプを返し、丁寧にファンに向き合う姿。
俺らより、余程向き合っている。
すると連絡があったのかマイクに向かって
「分かりました。関係者席からでいいんですか?」
と返答すれば、鞄から一眼レフを取り出しピントを合わせ始めた。
「天月か?」
『はい、写真撮って送ってほしいって。パソコンからすぐに送信出来ますから』
「中学生にしては博識だよな」
たわいのない話をしていたら携帯電話が鳴り、画面を見ると
【まふまふ】
と表示されていた。
俺は電話を取り、まふまふの所へと向かった。
____
A side
本番間近の舞台袖。
お三方が軽く言葉を交わしている間、何故か僕の心がドクドクと動いていた。
「体調悪いの?」
驚き顔を上げると華やかな衣装に身を包んだ天月さん。僕は一つ息を吐き、口を開いた。
『…なんか、僕が緊張してます』
俯きながらそう答えると天月さんはくすくすと笑い、そらるさんが「お前が緊張してどうするんだよ」とデコピンが飛んできた。手で抑えると天月さんは僕の目を見ていった。
「緊張するなら、自分が出るときまで取っておきなさい!」
そのまま、天月さんはステージへと向かって行く。
「よろしくお願いしまーす!」
こうしてステージに立つ天月さんは普段より更にオーラを放ち、会場の空気を奏でる指揮者のようで
『音楽は、やっぱり凄い』
音楽の力を教えてくれる教師の様だ。
「ふふ、Aは面白い」
「不思議だよな」
早く、あそこに立ちたい。
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雨音(プロフ) - 柊さん» ありがとうございます!がんばります!! (2020年2月22日 22時) (レス) id: 36e1edc774 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - とっても面白いです!応援してます! (2020年2月22日 19時) (レス) id: 6c7d5f5114 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - らんさん» 運命ですね。 (2020年2月9日 21時) (レス) id: 36e1edc774 (このIDを非表示/違反報告)
らん - 私の学校に 加藤 晴也 って名前の人いる! (2020年2月9日 18時) (レス) id: 665c5b97f1 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 蒔さん» ご拝読ありがとうございます!頑張ります!! (2020年1月21日 14時) (レス) id: 36e1edc774 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨音 x他1人 | 作成日時:2019年12月27日 16時