23.待ってるし願ってる ページ23
・
チャックside
Aは、メイズの中に走って行った。
仲間であるミンホを助けるために。
僕たちの中には、もう駄目だと半分思っていた奴もいたんだろうな。
僕も……いや、分からないよ。
願いなのか、現実逃避なのか、あるいはそのどちらもか。
でも、何故かAは戻ってくる気がする。
だから、僕はメイズに続く道の扉から離れようとしなかった。
それは一部の仲間たちも同じで、理由まで同じかは定かじゃないが、ニュートとアルビーは同じな気がするんだよな。
ゴゴゴゴゴッーーー
その音で僕は目が覚めた。
いつもはニュートや他の仲間に起こされるんだけど、今回ばかりは一番乗り。
呑気に少し嬉しく思った。
帰ってくる彼女を一番に迎えられる気がして。
会いたい。
そればかりを思った。
「皆んな起きて！道が開いたよ！！」
けど、結局僕はこの嬉しさを独占するより、皆んなと共有する方を選んだ。
これも１つの僕の欲なんだと思う。
バラバラに仲間たちは起き始める。
「ん、おはようチャック。」
「おはよ、ニュート。」
「…2人は。」
「うん、まだ…。」
やっぱりか、起きた仲間たちの顔はそう言わんばかりの表情だった。
(A。皆んなも君がミンホを連れて戻って来ると願っているんだ。)
チャックは思った。
やはり、ここにいる仲間たちは仲間想いの優しい人たちなんだと。
諦めの反対側に、帰ってくるという願いを隠していたんだと。
「…A。」
ニュートが遠くを見ながら、彼女の名前を呼んだ。
独り言のように聞こえるが、チャックにはそれが、彼が彼女を愛しく思っているようにも見えた。
また、彼女に話しかけているような声質だとチャックは思う。
「…俺、Aとは上手くやっていける気がしてだんだ。」
「うん、僕もだよ。でも…まだ過去の事にはしないでね、ニュート。」
「……行こうチャック。」
ニュートは視線を下げて、メイズの道に背中を向けた。
お願いだから、過去の事にしないでよ。
そんな事をしたら、まだ生きているかもしれない2人に失礼じゃないか。
…ううん、僕が認めたくないんだ。
2人の事をそんな存在に変えたくないんだ。
僕たちの話に聞き耳を立てていた他の仲間も、ニュートと似たような顔をしてその場から立ち去ろうとしていた。
僕も、同じ事を自然としようとする。
その時、足音が聞こえた。
ばっと道の奥を見て、目を見開く。
「A…。」
もしかしてーー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 62人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「逆ハー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未確認生物(プロフ) - あの、メイズランナー大好きです。私も書きたいと思ってます！ (2021年1月19日 21時) (
レス) id: 1ab2c3b0b2 (このIDを非表示/違反報告)
めろん - はい！頑張ってください！待ってます！ (2019年6月20日 17時) (レス) id: 5764f95332 (このIDを非表示/違反報告)
おわに(プロフ) - ありがとうございます！更新は遅めですが、これからもよろしくお願いします！！ (2019年6月17日 22時) (レス) id: 418a4a3702 (このIDを非表示/違反報告)
めろん - 更新楽しみにしてます！ (2019年6月17日 22時) (レス) id: 5764f95332 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おわに | 作成日時：2019年5月13日 2時
