18.メイズの夜 ページ18
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「…その足どうしたの?」
ミンホとAの呼吸が安定すると、まず彼女はそう尋ねた。右足を引きずっていた彼は、苦い顔をして口を開く。
「…つるにひっかかったんだ。」
「つる?」
「…あれだ。」
ミンホはすぐ近くの高い壁を指差す。
そこには、植物のつるが上の方まで伸びていた。
確かにひっかかってもおかしくないと思う。
しかし、聞いたのは自分だが、それよりも彼の足が心配だ。
「…足、見して。」
「おいおい。新人に医学があるとは思えないんだが。」
「…けど、全くって訳ではないのよ。」
「……分かった。」
頼む。
言ってミンホは、右足に添えていた手を退けた。
強気なのはどっちだ。
と彼女は心の中で呟く。しかし悪い奴ではない。
メイズに入る前から、彼女の中で確信があった。
「…うわ、痛そう。」
「そう言うな、傷つくだろ。」
「はいはい。…うん、捻ってるだけで、折れてはいないみたい。」
足首は、青紫に少し腫れている。
痛々しいその足から視線を逸らしたくなるものの、応急処置をすると言ったのは自分なので、最後まで行う事にした。
「ここでは足の怪我は命取りだ。まあ、今の状況も結構なものだけどな。」
「確かに、ニュートの話が本当ならメイズは危険でいっぱいみたいだし。…最悪な展開かもね。」
「…で、どうするつもりだ?俺は足はこんなんだから走る事は勿論、歩く事さえ難しいぞ。」
「その足ならね。けど少し楽には出来る。」
彼女は周りを見渡すと、道の端に落ちている太めの木を手に取った。
「…。」
「…こうして固定しておけばさっきより楽になるはずよ。」
…包帯がわりにと、自分のシャツを破く彼女から、ミンホは目を逸らした。
Aはそんな事知りもせず、木を足に固定していく。
「…どう?」
「…あぁ、大丈夫だ。ここを離れよう、この場所が安全な訳ではないんだ。」
ギュイイーーーンッ!!
ばっと二人は迷路の方を見た。
機械音のような不気味な音が、二人を襲う。
これから起こる全てが、まず最悪だろう、とAは思った。
「ミ、ミンホ。」
「行こう。…グリーバーが動き出した。」
ミンホの冷静な判断を聞いて、彼女は少し落ち着いた。そして、ミンホを支えながらAは迷路の中に入っていく。
その一方で、ミンホは彼女を横目に見ていた。
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未確認生物(プロフ) - あの、メイズランナー大好きです。私も書きたいと思ってます! (2021年1月19日 21時) (レス) id: 1ab2c3b0b2 (このIDを非表示/違反報告)
めろん - はい!頑張ってください!待ってます! (2019年6月20日 17時) (レス) id: 5764f95332 (このIDを非表示/違反報告)
おわに(プロフ) - ありがとうございます!更新は遅めですが、これからもよろしくお願いします!! (2019年6月17日 22時) (レス) id: 418a4a3702 (このIDを非表示/違反報告)
めろん - 更新楽しみにしてます! (2019年6月17日 22時) (レス) id: 5764f95332 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おわに | 作成日時:2019年5月13日 2時