17.ビジョン、その先に ページ17
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彼女の頭の中では、違う映像が流れていた。
知らない大人たちと自分。
目の前にはベッドに寝かされた少年。
Aは知っていた。
その人物が誰なのか、自分が誰なのか。
しかし、今は思い出せないでいる。
彼女は大人たちが去ったのを確認すると、少年に近づいた。
「…今の私に大丈夫なんて酷い事言えないわ。けど、いつか必ず助ける。絶対よ。」
真剣な表情でそれを言った後、微笑んだ自分。
すると、少年から一つの涙が流れた。
その涙が自分への答えなんだと、彼女は悟ったようにその場を離れた。
「…あ。」
Aは、いきなり頭に流れた記憶に混乱した。
それと同時に、顔がぼやけていた少年とミンホが重なり、心拍数が上がるのが分かった。
(…助けなきゃ。)
彼女に考える暇なんて無かった。そんな余裕は全て混乱が消し去ってしまった。
あと少しで道が閉じる。
道が閉じようとするのと比例するように、男たちの声量も大きくなる。
「こっちに来い！！」
「早く！！」
「早く来い！！」
…彼女は決心した。
(助ける！！)
「ミンホ！！！」
Aは誰よりも大きく、力強く、彼の名前を呼んだ。
そして、呼ぶと同時にメイズへの道に足を進めていた。それもまた、力強いものだった。
そんな彼女を見て、周りが目を見開く。
「A！！待て！！！」
アルビーの彼女を止める声が響く。
それを始めとして、他の男たちも一斉に彼女に停止の声をかけた。
「A戻って！！」
「おい新人！！止まれ！！」
「何やってんだ！！」
その声は、彼女には届いて居なかった。
振り向く素振りさえせず、一直線にミンホの元へ向かうA。
(あと少し！あと少し！！あと…)
道の閉じるギリギリで、彼女はメイズに入る事が出来た。入るなり、いきなりの全力疾走に疲れ、その場に倒れる。
前を見れば、彼女と同じぐらい息が上がっているミンホがいた。
ミンホも彼女に目を向ける。
二人は視線が合うも、息が上がっているせいで一言も喋らないでいた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「はぁ、はぁ、はぁ」
静かな夜に、二人の荒い息だけが響く。
しかしそこで先に言葉を発したのはミンホだった。
「はぁ、はぁ、あんた馬鹿だろ。」
正気じゃない。
と、なんとも失礼な事を言う彼。
(…あーあ。何やってんだろ私。)
夜空が綺麗すぎて、逆にムカついていた彼女。
その彼女は今、迷路に居る。
生きて帰る事が許されない、不気味な迷路に。
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未確認生物(プロフ) - あの、メイズランナー大好きです。私も書きたいと思ってます！ (2021年1月19日 21時) (
レス) id: 1ab2c3b0b2 (このIDを非表示/違反報告)
めろん - はい！頑張ってください！待ってます！ (2019年6月20日 17時) (レス) id: 5764f95332 (このIDを非表示/違反報告)
おわに(プロフ) - ありがとうございます！更新は遅めですが、これからもよろしくお願いします！！ (2019年6月17日 22時) (レス) id: 418a4a3702 (このIDを非表示/違反報告)
めろん - 更新楽しみにしてます！ (2019年6月17日 22時) (レス) id: 5764f95332 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おわに | 作成日時：2019年5月13日 2時
