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#31 ページ31

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『俺、昨日ケジメつけた』

そんなふうに告げられた日から早一週間ほど。

あの二人は今、

普通の友だち同士みたいな関係になった。

……付き合っていた頃よりは、

お互い自然体で断然仲が良さそう。

彼女も、

「未練なんてないよ、
最初からこう接せればよかった」

と、言っている。



「……」

私は─────

まだ、告白出来ないでいた。



*



朝、登校中に前方にキミを見つけて

「陸くん!」

迷わずその名を呼んだ。

振り向いた彼は立ち止まると

にっこり笑って手を振ってくれる。

私が追いつくと、挨拶を交わし歩き出す。



「これ、はい」

私は手にしていた、

ランチバッグを差し出した。

「おぉ、ありがと」

陸くんは心底嬉しそうにそれを受け取る。

最近はまた、

お弁当を作って渡すようになっていた。

そして昼には一緒に食べるように……。



それが、逆に不安を掻き立てる。

私の気持ちは一切変わっていない。

告白をするという決意も。

でも、今のこの距離が

『友だち』だから保てているのだとしたら……

と、考えてしまうから。



もし私が告白して断られてしまったら、

もう二度とこんなふうには喋れないのでは、と

それが怖くて一歩が踏み出せない。



『じゃあ、俺と友だちになろ?』

陸くんははじめ、そう言ってくれた。

あのときは天にも昇るほど嬉しかった言葉も

今は─────。



*



(あぁ……)

陸くんの心が読めたらなぁ。

傍にいる時間と比例して、

私の気持ちが伝わっていけばいいのに。

キミのちょっとした仕草や言葉で

ドキドキが止まらなくなる……。

(気付いて……)

なんて、思ってみたり。



心の中で思っているだけでは伝わらない。

声を出して、言葉に乗せて、

やっと届く─────って

あのとき、そう後悔したから。

もう後悔したくなくて

言いたいことはちゃんと伝えようと、

決意したのに。



だから言わなきゃ、私の言葉でキミに。

何もしないで傷つくのはもうたくさん。

そう思っても、私に向けてくれる笑顔を見ると

どうしても今の関係が壊れそうで─────

たった二文字でさえ、

なかなか伝えることが出来なかった。



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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年7月1日 18時

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