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「お、おはよう!」
翌朝、教室に着いた私は
自分の席につく前に彼のもとへ向かった。
そして、そんなふうに言った。
彼は驚いたふうな顔をしていた─────。
緊張でどうにかなりそうだった。
「迷惑だ」と言われるんじゃないかとか
何度も後ろ向きに考えたけど、
キミを想って考えてる時間でさえも
愛しくなって、吹き飛んだ。
「おはよ……」
そして、返ってきたのは小さなそんな声。
陸くんは、ふいっ、と目を逸らして
それきり合わせてくれなかった。
……結構、勇気出したのになぁ。
お互いの離れた距離は。
近づきも遠のきもしなかった─────。
(何で、こうなったんだっけ)
自分の席で、
鞄を机の横に掛けてぼんやりと考える。
『無理、だよ』
『何で、会いに来たの?
何で、期待させるようなことばかり……。
報われないってわかってるのに
そんなことされたら余計に辛い……』
『もうやめて……。
これ以上、私に近づかないで……』
「……」
陸くんを傷つけた血だらけのナイフが
再び私の胸に突き刺さる。
半分告白のような言葉を並べて、
困らせた挙句にひどいこと言った。
それは、今までは、
そうでなくちゃいけないと思っていた。
あれ以上近づくことは許されない、と。
だから─────
そうすることで、小さな自尊心を守ろうとした。
私の行動は間違っていないと、そう思おうとした。
自分が悪者になっても、
親友のために突き放すことが、
正しいと思っていたから。
でも、違った。
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年7月1日 18時