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はぁ……と重たいため息をついて
帰り道を歩く。
結局、お昼にはお弁当を渡せず
陸くんは購買で買った、パンを食べていた。
だけど彼は、
お弁当のことには触れて来なかった。
(忘れてるのかな。
それとも、冗談だったのかな……)
もしそうだとしたら
渡さなくて良かった……？
「A、待って！ ストップ！」
背後からそんな声と、
駆けてくる足音が聞こえて私は振り返った。
「り、陸くん!?」
走ってきていたのは陸くんで
彼は私に追いつくと
息を切らせながら隣に並んだ。
「どうしたの……？」
「どうもしてないよ、
ただ一緒に帰りたかっただけ」
呼吸を整えた彼はそう答える。
瞬間、頬が火照っていくのを感じた。
「あの、」
考えるより先に、身体が動いていた。
バッ、とランチバッグを差し出す。
「本当は、お弁当作ってきたの……！」
心臓がどきどきして、
何だか恥ずかしくて、
自然と声が小さくなってしまう。
(もし、冗談だったら引かれちゃうかな……)
「マジ？ ……すっごい嬉しいんだけど」
意外な反応に私は俯いた顔を上げる。
「何で言ってくんなかったのー」
陸くんは差し出したバッグを受け取る。
「ごめん、ね」
戸惑いつつも謝ると
陸くんは心底嬉しそうな笑顔を見せる。
「明日こそ、ちゃんと渡してよ」
「え？」
陸くんの言葉は、更に鼓動を速まらせた。
それはつまり……
明日も一緒に食べよう、と
言ってくれているのかな。
泣きそうな気持ちになりながら
「うん……！」
と、私は何度も頷いた。
心が満たされて、切なさや苦しみなんて
もう何処かに消え去ったように感じる。
だけど。
その片隅で、やっぱり疼くのは
“諦めなければいけない”という、心の叫び。
もう、やめなければ。
もう、消さなければ。
本当に歯止めが効かなくなる。
わかっているけど、
この気持ちは一体……
どうしたら消えてくれるの？
どうしたら……。
なくならない恋心は
追い出そうにも出ていってくれなくて、
私の心に居座り続けた。
報われなくていい。
“友だち”のままでいい。
だから……。
もう暫く、好きでいさせて─────。
いつか必ず、
気持ちを消すから……。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2017年7月1日 18時
