【すしりく】青春、キミ色に染まる。 (ページ12)

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#12 ページ12

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目の前の明日香は

一見、普段と変わらぬ様子に見えるけど

何処か笑顔が引きつっているような。

(無理してる？)

そう考えずにはいられない。

「あの、何かあったの……？」

訊くかどうか迷った挙句、私は思い切って尋ねた。

「何か、って？」

「あ……いや、」

きょとんと首を傾げる彼女を見ると

気のせいかな、と思えてきた。

気のせい……だったのかな。

「何でもない」

でも─────

さっきの二人の様子とか、

何処か不自然だったのは、たぶん気のせいじゃない。

*

(お昼、何処で食べよう)

二人は教室で一緒に食べるらしい。

中庭、屋上……。

足を運んでみたはいいけれど

暑くて暑くてとても長居は出来ない。

他のクラスに友だちがいれば

頼んで一緒に食べられたけど

生憎私はそんなに交友関係が広くない。

人見知りな、この性格のせいで。

でも、キミといるときだけは─────。

*

結局、私は学食で食べることにした。

人が多くてあまり得意ではないけど

今日は、仕方がないとも思う。

隅の方でお弁当を広げて食べていると

(……あれ？)

私のいるテーブルから少し離れたところに

(陸くん？)

何故か陸くんが一人でいた。

(一緒に食べる、って言ってたのに)

人違い？

……ううん、そんなことはない。

あれは間違いなく陸くんだと思う。

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