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「……あれ、本当だと思う？」
そのうち立ち止まると私たちを見て問うてくる。
「ぶんちゃんが預言者だってやつ」
ぶんちゃん……？と首を傾げたが、それがぶんけいくんを指すことは直ぐに分かった。
彼女はフレンドリーなタイプなのかもしれない。
「どうかな」
マホトくんは曖昧に相槌を打った。
「何か嘘くさいけど……でも他に預言者って名乗る人いなかったもんなぁ」
あーずーは指先で頭を掻きながら言う。
と、マホトくんが背もたれから身を起こした。
「でもそれ、ヒントになるかも」
そう言ったマホトくんの次の言葉を待つ。
「普通は、人狼か狂人が“自分は預言者だ”って嘘つくもんなんだよ。
だから預言者が2人出てくる場合も多くて」
2人出てきたらややこしくなってたな、と思う。
マホトくんはさらに続けた。
「それがないってことは……慣れてない人なんじゃない？」
「人狼と狂人が？」
あーずーが聞くと彼は「たぶん」と頷く。
「経験者だったら、預言者騙ってると思う」
「じゃあ」と彼女は彼の横に腰を下ろした。
「あんたとトミーとはじめ以外の誰かが人狼、ってこと？」
あの場で経験者だと手を挙げたのはマホトくん、トミーくん、ぶんけいくん。
はじめくんは名乗り出てはいないが、人狼ゲームに慣れているのは確かだと思う。
「ぶんけいが人狼か狂人で、本物の預言者がまだ出てきてないって可能性もあるけど……。
でもそれだったら、ぶんけいがわざわざ自分から経験者だって言ったりしないよね」
と、マホトくん。
ちょっと私には難しいや……。
会話についていこうと努力しつつ、しかし聞いているのが精一杯だ。
「確かに。 ……あ、じゃああれは？
そらの、自分は共有者だ、ってやつ」
と、あーずー。
「あれも本当だと思うよ。
嘘なら、もう1人の共有者が直ぐに否定してる」
マホトくんは答えた。
あーずーは続けて質問する。
「もう1人の共有者はオープンにしない方がいいの？」
「うん。偽物の預言者がその人を指して“人狼だ”って宣言するかもしんないから。
そしたらもう1人のパートナーは嘘を証明出来て、偽物の預言者────つまり人狼か狂人を特定出来る」
そんな方法もあるんだ……。
それ以外にも、初めから共有者を2人とも名乗らせる戦法もあるらしい。
「なるほどね、分かった」
あーずーはそう言って数度頷いた。
そして、口を噤むと私とマホトくんを交互に見る。
「一応聞くけど……村人側だよね？」
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2019年8月15日 23時
