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「調子乗んなよ。
俺が助けてやんなきゃ、おまえはとっくに吊られてた」
そこまで言うと、彼は言葉を切って私に向き直った。
ポキくんに向けていた冷たい眼差しは消え去っている。
「俺を信じろ」
心臓を掴まれてしまったような感覚だ。
拒絶するどころか、身動きすらとれない。
「おまえらだけじゃ成功するもんも成功しない」
*
作業に取り掛かったものの、エイジくんの首輪を切断する前に投票の時刻が来てしまった。
辛い、苦しい、なんて言葉ではとても足りない。
彼の首輪を切れなかったということはつまり、今夜誰かを処刑しなくちゃいけないということだ。
すぐそこに出口が見えているのに、あと少しのところで手が届かない。
投票場に集まると、座っていたエイジくんが立ち上がった。
「状況整理しよ」
彼はぶんけいくんを見やる。
「俺とぶんけいは自称預言者。
ぶんけいはAを白だと宣言してる」
私を指し、それからはじめくんを指した。
「俺ははじめが白だと宣言してる」
「ちなみに俺の霊媒師とそいつの共有者は確定してる」
はじめくんはそらくんを顎で示して言った。
「ほぼ確定」
と、陸くん。
……駄目だ。議論に集中出来ない。
首輪のことばかり考えてしまう。
「てことは、俺はそれ以外の人に投票すればいいってこと？」
カンタくんが落ち着きなく視線を彷徨わせている。
「どうして？」
と、ぶんけいくん。
「エイジが偽物なのは明らかやん。 エイジに投票せんと」
「ぶんけいにとっては、でしょ」
はじめくんが彼に言う。
エイジくんもぶんけいくんに反論した。
「現時点で信憑性が高いのは俺の方。
俺の占いの結果はぜんぶ正確だった」
「……たまたまね」
2人は輪の中央で睨み合う。
「それに僕の占い結果もぜんぶ正確だよ」
「俺が人狼なら仲間の人狼に黒出しなんかしねぇよ」
「じゃあやっぱりエイジは狂人かもしれない。
たまたま適当に人狼だって言った相手が本当に人狼だっただけかも」
黙って聞いていたカンタくんが頭を抱えてため息をつくと、立ち上がる。
「もう、この人が人狼ってことで良い？」
と、ぶんけいくんを指す彼。
「駄目！ まだぶんけいが本物って可能性はあるから」
「ねぇよ」
陸くんの言葉を間髪入れずに否定するエイジくん。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2019年8月15日 23時
