【YouTuber】人狼ゲーム 8 (ページ33)

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リクヲは蒼白になり、消え入りそうな声で「違う」と呟いた。

そらは何も言わず、乱暴に椅子から立ち上がると食堂から出て行った。

*

屋上に出ると、後からエイジが追いかけてきて言った。

「さっきの件だけどさ」

私はゆっくりと彼を振り返る。

「焦る必要なかったんじゃない？」

赤い髪が風に揺れている。

「残り7人で、そのうち人狼側を勝たせたい人間は4人。
A、マホト、陸、俺。
……人狼が吊られる可能性は低い」

言われてみれば、確かにその通りかもしれない。

なら、私の心配は杞憂だったのだろうか。

どっしり構えていればよかった？

無駄に神経をすり減らしただけ？

……違う気がする。

頭の中で、私が用心棒を騙らなかった場合の展開をシミュレートしてみた。

リクヲが唯一の用心棒ということになる。

はじめがそれを信じる。

そら、リクヲ、はじめの3人が私もしくはマホトに投票する。

私、陸、マホト、エイジがリクヲに投票する……。

(いや、待って)

私は、エイジがこっち側って知らないことになってる。

───味方が実は4人いる、なんて事は。

知らないなら、エイジがリクヲに投票するだろう、とは思わないはず。

このままじゃ吊られる、何とかしよう、と思って……今回と同じ判断をするのが1番自然だと思う。

マホトを騙さなくちゃいけないから。

もし余裕ぶって何もしなかったら私が恋人陣営だってバレる。

そうなった場合、マホトはエイジを殺しに行くだろう。

「陸がリクヲに人狼って宣言した事で、マホトは陸が人狼側を支援してるんじゃないか、ってきっと感じてる」

エイジの言うことは最もだ。

でも、すり減った神経を逆撫でするような物言いに今はとても腹が立つ。

……こいつに、どうこう言われる筋合いなんてない。

「おまえが恋人陣営なんじゃないか、っていう疑いは強くなった」

「……うるさい」

エイジの眉がぴくりと動く。

「……は？
俺に勝手な事するな、って言う割にはお前らの方が余計な事してんじゃん」

「うるさい」

彼の言葉を遮るように言う。

「今夜、陸かあんたを襲撃するようなら私がマホトを殺す、それでいいでしょ」

エイジは私の言葉には直接答えず腕を組んで私を見据えた。

「お前、金欲しいんだって？」

そしてゆっくり歩み寄ってくると

「金」

と、もう一度言った。

「3人で勝つより2人で勝った方が、分け前多くなったりして─────」

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