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思わずぎょっとしたけど、ここまでは予想の範囲内だ。
そらは昨日、人狼側に疑心暗鬼を植え付けるため嘘の結果を宣言していた。
彼が本物の預言者である以上、いつかは撤回し村人陣営に真実を告げなくてはならない。
だけど、さすがに次の発言まではまったく予想出来なかった。
「そして今日の結果は……マホトさんが人狼、というものだった」
その場に広がった動揺はさっきの比じゃなかった。
リクヲは口をぽかんと開けている。
陸は両手の拳をきつく握り締めている。
はじめは深く眉間に皺を寄せている。
エイジは普段の余裕ぶった態度を崩していないけど、さすがに内心では驚いている筈だ。
人狼側の勝利条件を満たさねばならないのに、その人狼が2人とも預言者に言い当てられてしまったのだから。
「昨日、逆の結果を言ったのは人狼側を撹乱するため。
……ラッキーなことに俺は昨晩また、人狼を当てた」
私は眉を顰め、そらを見て言う。
「2日連続で見つけたっていうの？人狼を？
……百発百中じゃん。都合よすぎない？」
「俺は人を見る目があんの。 怪しい人はわかる」
悔しいけど認めざるを得ない。
確かに彼は怪しい相手、人狼と思われる相手を完璧に見抜いた。
「それが、そらの主張ね」
陸が静かな声で言った。
そうだ、彼も自称預言者なのだ。
彼がより妥当な結果を口にすれば基本的には皆、そちらを信じてくれるに違いない。
「俺の結果は─────」
と、陸は目の前に座る相手を真っ直ぐ指さした。
「リクヲが人狼、というもの」
彼は宣言した。
リクヲはまさに“押しの弱そうな奴”の典型。
彼が冷静に陸を論破出来るとは思えない。
案の定、リクヲは眼鏡の奥の目を白黒させている。
「……俺？」
「そう」
陸は一人一人と、順番に目を合わせていった。
「急に発言を撤回して、自分は100パーセントの確率で人狼を見つけられる、と言う人と。
ごくごく自然な結果を口にしてる俺と。
どっちが信用出来る？」
マホトがじっと彼を見た後、ふと私の目を見つめてきた。
一瞬目が合って、私はふらりと逸らす。
「……ちょっと待って！おかしい。そんな筈ない」
リクヲが、風邪の引き始めみたいに震えている。
「だって、俺────」
迷った末 覚悟を決めたように、彼がぐっと拳を握り締め、言った。
「用心棒だから」
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2018年3月10日 16時
