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「俺は、嘘はつけない。
こいつの方が嘘つくの得意だし」
その疑わしげな視線に苛立った様子で、マホトが美希さんに指を突きつけた。
「ひどい……」
彼女は絶望的な表情で彼を見た。
しかしマホトは構わず続けた。
「それにこのゲームの場合、霊媒師なら馬鹿にでも騙れる。
白か黒か言うだけだろ？」
言っているうちにだんだん加速して捲し立てるように彼は言う。
「どっちを言うべきかは仲間の人狼か恋人が教えればいい！
預言者を騙んのと違って何でその相手を選んだのか、とかの説明もいらねぇ！」
「何言ってるかわかんない！
そんなふうにがーって喋る方が偽物！」
美希さんが泣きそうな顔で訴えた。
「美希」
静かなマホトの声が聞こえる。
「みんな、何とか言ってよ！」
感情的になっている彼女は興奮気味に言うけれど「美希！」と、再びマホトが制した。
「……俺、今までお前が嘘つくとこいっぱい見てきたからさ」
私たちの知らない2人の話。
それが真実か嘘かは分からないけど説得力があるのも事実。
「マホト……？
何でそんなこと言うの……？」
美希さんは眉を寄せ、精一杯泣くのを堪えているようだった。
「私たちあんなに仲良かったじゃん……」
一瞬、そんな日々を思い出したのかマホトが顔を歪めた。
「……私、マホトと付き合って、本当に楽しかったんだよ？」
美希さんは続ける。
そこに他意があるような気がするがマホトには効いているようで、彼は唇を噛み締め俯いた。
「自分だけが良ければそれでいいの!?」
彼女の涙混じりの声が響く。
「こんなゲームやらされて……。
勝ったのに、また後半戦とか言われて！
でも……私は、それでも、マホトといたかったから……」
彼女の声は震えて掠れていた。
頬を涙が伝い落ちていく。
「私はマホトと一緒にいたくて！
ここから出たくて！
……頑張ってたんだよ……」
訴えかける視線をマホトにやる美希さん。
彼はゆっくりと顔を上げた。
「────でも昨日の投票、俺に入れてたよね」
揺らがない視線を返すマホト。
彼女は弱々しく首を横に振る。
……けど、マホトの言う通りだ。
確かに彼女は彼に投票していた。
「そうやってわざと悲しい演技してさ……。
皆の同情買おうとすんの、得意だもんね」
美希さんは泣きながらマホトの言葉に再び首を横に振った。
「────時間」
投票時刻が迫っている。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2018年3月10日 16時
