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(何で……!?)
混乱した。
思わず呼吸を忘れた。
預言者を自称しているのはそらと陸の2人。
陸の正体はキューピッドなので、必然的にそらは本物の預言者という事になる。
なのに、彼は私のことを「人狼じゃない」と言った。
……私は人狼なのに。
さり気なく仲間達の様子を窺った。
陸は平静を装っているけれど口元がわずかに引きつっているような気がする。
マホトは眉間に皺を寄せ必死に状況を掴もうとしているようだ。
これにはエイジも予想外だったようで視線を宙に彷徨わせている。
そんな事情を知らないリクヲが口を開いた。
「……それで、霊媒師は？」
今日は彼が仕切るつもりらしい。
「昨日 投票で吊られた虫眼鏡は……人狼じゃなかった」
美希さんが暗い表情で答えた。
マホトがハッと我に返り苦い表情で言った。
「俺の結果も同じ。……虫眼鏡は村人側」
「2人の結果が一致してるって事は、どっちが本物にしろ、虫眼鏡は村人側だったって事だよね……」
リクヲが全員に確認する。
「そうなるね」
はじめが眉一つ動かさずに同意した。
美希さんがイラついた様子で目を伏せ、腕を組んだ。
「マホトは人狼。
人狼は村人側を知ってるから間違えずに結果を言える」
「いい加減にしろよ」
マホトは低い声で遠くに座っている彼女を一瞥する。
「昨日、虫眼鏡に投票した人の中から次に吊る人を考えるっていうのは────」
騙りの争いなんて埒が明かない。
そう思ってか、陸が発言した。
本当に考えての発言か、発言回数を稼ぐための発言か。
「いや、昨日の投票を見た限りだと人狼はまだ仲間を把握出来てなかった筈」
はじめが冷静に言い放つ。
「となると村人側に入れてたとしても、だからって人狼とは言えない……」
続けて、そらがそう言った。
再び沈黙が訪れて、考えるように黙り込んでいたツリメが皆を見回してその沈黙を破った。
「昨日 投票で吊られた虫眼鏡は村人だった。
人狼に襲撃されたてつやも当然、村人側。
……同時に死んだ人もいないから2人とも恋人じゃなかった」
陸に白出しされたときに見せた笑顔と醸し出す雰囲気は、穏やかでほわほわしてるのに、意外と発言力があるし何より落ち着き払っている。
白出しの効果もあって皆が彼を見る目はますます、信頼の色に染まっていく。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2018年3月10日 16時
