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結果は一目瞭然。
虫眼鏡が最多票を集めた。

─────参考までに、虫眼鏡とそらはてつやに。

美希さんは

『自称預言者と自称霊媒師には投票しない』

という暗黙の了解を堂々と無視してマホトに投票していた。



「は……?」

虫眼鏡の声は震えていた。

「何だよ……、何だよこの投票は!!」

ぶつけようのない怒りを、近くにいたツリメに吐き出す彼。

立ち上がっていたツリメを突き飛ばした。

それから絶望したように輪の中に戻り、

「この投票は何ですかぁあ!!?」

今度は全員に喚き散らす。

「貴方たちは勝負に勝ちたくないんですか!?
ああそうか、わかった!
人狼がいる、今僕に入れた人の中に人狼がいる!
もう覚えましたよ……!!」

彼は目を異様に見開き、狼狽え、明らかに平静を失っていた。

私はこのときになって初めて、エイジがまんまと当初の目的を達したことに気付いた。



「ただ……ただ、僕は無効を訴えます!
タイミングがずれていた。今の投票は無効だ!!」

無効なんてありえない。
もう、彼の死は確定している。

「ぅうぁああああ……!!」

しかし、喚き暴れる虫眼鏡の首輪は一向に動き出す気配がない。

「何で何も起こんないの!?」

リクヲが誰にともなく問いかけた。

「前は……首輪が絞まってたぞ、吊られる奴の!」

マホトの言う通りだ。

前回は投票が行われた直後、最多票を得た者の首輪が絞まってそのまま窒息して死んでいた。



虫眼鏡がそんな会話を聞きつけ、頬を紅潮させ、気味が悪いほど興奮していく。

「ほら、やっぱり!
やっぱり無効ということですよ!
運営側もそう判断したんだ!」

そう言ってカメラを指した。

天井の監視カメラは録画中のランプを点滅させている。

─────次の瞬間。



─ピピッ

何度も聞いた、首輪の作動音。

─ウィイーン

虫眼鏡の首輪が絞まり始める。

彼は首輪と首の間に手を入れ必死に抗っていた。

苦しそうに呻きながら助けを求めるようにふらふらと彷徨い、床に倒れ込む。

反射的に、皆が逃げるように立ち上がって彼から距離を取った。



これから首輪で彼は死ぬ。

誰もがそう信じて疑わなかった。

しかし。



─ウィイーン……。



「が、は……っ……はぁ、はぁ……」

虫眼鏡が苦しそうに浅い呼吸を繰り返す。

────突如として、彼の首輪は動きを止めたのだった。



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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2018年3月10日 16時

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